闇の左手
タイトルは中二病的ですが、大変に良いお話でした。
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遥かなる過去に放棄された人類の植民地、
雪と氷に閉ざされた惑星ゲセン。
<冬>と呼ばれているこの惑星では、
人類の末裔が全銀河に類をみない
特異な両性有具の社会を形成していた。
この星と外交関係をひらくべくやってきた
人類の同盟エクーメンの使節ゲンリー・アイは、
まずカルハイド王国を訪れる。
だが、異世界での交渉は遅々として進まない。
やがて彼は怪奇な陰謀の渦中へと…
ヒューゴ、ネビュラ両賞受賞の傑作
『闇の左手 アーシュラ・K・ル・グィン著/早川書房刊』作品紹介より抜粋
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映画「第5惑星」のような、
異種間交流がベースとなっている話。
後半に語られる、主人公と友人となる
ゲセン人の旅の描写がとても心地よい。
ル・グィンを初めて読みましたが、
大変に読み応えのあるSF。
壮大なファンタジーのような、
古き良き昔話を読んでいるようなかんじ。
久しぶりにしっかり1冊読みました。
『火星の人』以来。
ル・グィンの特徴である
文化人類学的な物語の描写は勉強になる。
とても面白い書き方。
価値観が違えど、見た目が違えど、
人種を超えた交流を描くこの作品は
70年代の多くの作品・読者に影響を与えたのこと。
既成概念を緩やかに、潔く壊すことができて、
読者に考える余韻を与えてくれる作品。
闇の左手、光の右手
そのどちらも必要で、支え合うもの。