エンダーのゲーム

僕らの日常に実際に存在することを、
舞台を未来に置き換えることで
偏見のない視点から
見直すチャンスを与えてくれるのが、
SFの魅力だと思うよ。

ハリソン・フォード (パンフレットより)


あらすじ
***
オースン・スコット・カードが1977年に発表し、
アメリカSF界の権威であるヒューゴー賞
ネビュラ賞をダブル受賞した
名作小説「エンダーのゲーム」を映画化。

異星人の侵攻を受けた地球は、
衛星軌道上に「戦いを終わらせる者」を
育成するバトルスクールを設立し、
世界中から優秀な子どもたちを集めていた。

一家族がもうけられる子どもは
2人までと定められた世界で、
禁断とされる3人目の子ども=サードとして生まれた
ウィッギン家の少年エンダーは、
それゆえに冷遇されて育ったが、
やがて才能を見込まれバトルスクールに送られる。

優秀な成績をおさめ、
みるみる頭角を現すエンダーに周囲は
「戦いを終わらせる者」として期待を寄せるが、
エンダーは戦うことへの疑問と重い宿命に苦悩する。

そんな中、最終戦争の時が迫り……。
エンダー役は「ヒューゴの不思議な発明」の
エイサ・バターフィールド

監督は「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のギャビン・フッド。
原作者自らもプロデューサーとして製作に参加している。

http://eiga.com/movie/79060/
***


頭脳明晰、身体能力も抜群のティーンエイジャーが
人類の未来をかけて宇宙空間にて異星人とバトルする話。


オースン・スコット・カードが著した「エンダーのゲーム」は、
こうした年端もいかない青少年を主人公にしたこと、
壮大なスペースオペラが当時のSF文学史に衝撃を与えたと読んだ。

また、今回の映画化においては
幼い主人公が人類の命運をかけて戦うヒーローとして
描かれていることに、これまで欧米が抱いていたSFヒーロー像に
変化を与える一石を投じたとも評論家の誰かが言っていた。

これまでの欧米におけるSFヒーロー像は
白人で筋骨隆々でとっても強くて
とにかくマッチョが多かったのに対し、
ひょろっとして、一見して力もなさそうな
エンダー・ウィッギンが全人類を守ることこそが
人々の先入観を打ち砕いたんじゃないだろうか。



この作品は日本アニメ好きの人には新鮮ではないと思うけど、
そうしたアニメが日本で確率される以前に完成していた小説だと考えると
人々の想像や先入観を打ち砕くような世界観で
やっぱり良くできているなぁと思う。


また、原作の著者であるオースン・スコット・カード
中編作品「運命の物語」を偶然立ち読みしたんだけれども
この作品もまた「エンダーのゲーム」に主人公設定が似ていた。


頭脳明晰で「これ以上良い出来の子どもはいないだろう」と
いう非の打ちどころのない子どもが彼の作品に2回も登場するのは、
人間の内側を描いたり、一見不条理なことでも条理なんだと説明したり
彼自身が己の出来の悪さを四苦八苦しながら克服するという感動ドラマを省いて
彼を取り巻く人間模様や自分に不利な環境からリーダーになるという
ストーリー仕立てにとても適しているからじゃないかなと感じた。

(「運命の物語」では、主人公が皆のリーダーになったわけではなかったけど、
主人公自身が大きな障害であった父を殺害し、彼自身が彼の世界の中で
ようやくリーダーになれたという所で話が終わる。)


この作品の著者は、他の小説の作家と同じように、
エンダーというフィルターを通して、
著者自身が感じていることを代弁させているに過ぎないんだけど、
他のSF作品にはないような世界観やしぐさ、言葉が見える気がする。


とはいっても、ストーリーの展開が早すぎて
あれよあれよと昇格していくエンダーすごい!
という感想しか抱けなかったのはつらいところ。


小説はエンダーとその兄さんについて
結構細かに描写されているようだけど、
映画では都合上結構カットされている。

ペトラとの恋愛チックな描写はいらなかったから
家族描写はもっとあっても楽しかったかな。


宇宙戦争ラバーとしては、最後の試験と称して行われた
あの戦いのかっこよい映像に酔いしれました。
あぁいう戦い方はカッコいい、ズルい。
エンダーの動き真似しながら宇宙戦艦とかコントロールしてみたいなぁ



エンダーのゲーム
Ender's Game
2014
ギャヴィン・フッド