ゼロ・グラビティ

感じる無重力

90分間の宇宙遊泳。


あらすじ
***
トゥモロー・ワールド」、
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」の
アルフォンソ・キュアロン監督が、
宇宙空間に投げ出されてしまった
宇宙飛行士たちの極限的状況を
最新VFXと3D技術を駆使して描いたSFドラマ。

スペースシャトルのメディカル・エンジニア、
ストーン博士とベテラン宇宙飛行士のマットは、
船外作業をしていたところで予想外の事故に遭い、
宇宙空間に放り出されてしまう。

空気も残りわずかで地球との交信手段も断たれ、
たった1本のロープでつながっているだけの2人は、
絶望的な状況の中から生還を目指すが……。

ストーン博士役にサンドラ・ブロック
マット役にジョージ・クルーニー

撮影は「トゥモロー・ワールド」ほか
キュアロン作品を多数担当する名匠エマニュエル・ルベツキ

脚本はキュアロン監督と、
監督の息子ホナス・キュアロンによる。


http://eiga.com/movie/57690/

***

以下、ネタバレあり。

トゥモロー・ワールド」や
天国の口、終りの楽園。」で
メガホンをとった
A.キュアロン監督の作品。

カットをはさまない
長回し撮影で有名な監督ですが
今回の映画もすごかった。

最初から終わりまですべてが
ノーカットシーンのよう。
観客は息をつく暇もない。


音とストーリーの緩急が
とってもうまい。
気がつくとその歪みに
どんどん嵌っていく!


最初のタイトルクレジットから音の演出、
そして最初の宇宙遊泳シーンは
本当に良くできていたなー

あの音が共鳴しているかのように
どんどん大きくなるシーンで
ぐぐーっと鳥肌が立って、
無音になった瞬間に
パッと宇宙に放たれるような感覚になる。

主演のサンドラ・ブロック
存在感もとても良かった。

この映画の主人公は女性であると
脚本が執筆されるときから
決まっていたらしい。


母なる地球を背景に
母である女性が主人公。

この設定はありがちだけど、
これだけコンパクトに
まとまった映画だと
余計にメッセージ性が濃く出る。


これに関係あるのかわからないけど
エンドクレジットで
「お母さんありがとう!」って
スペイン語で出てくるのもいい!笑


またジョージ・クルーニー
天性の明るいキャラクターで
ムードメーカーなコワルスキーも良い。


ライアンの夢想でコワルスキーが
急遽出てくるんだけど、
登場の仕方にあまりにも驚いて
「何やってんだこのおっさん!
 ライアン死ぬ!えええー…」
と誰しもが一人ツッコミを
したんじゃないかと信じたい。


あらゆる宇宙空間、
地球が浮かび上がるシーンの美しさ。


地球上の生命体は、
元は宇宙から来たと
信じる私にとって
最後の帰還シーンは圧巻。

この中国の有人宇宙船「神舟」での
帰還シーンはこれまで見てきた
作品の中でもひときわ美しい。


神舟」と一緒に
中国の宇宙ステーション「天宮」が
大気圏で火球になって地球に降り注ぐ姿は
本当に息を飲む。
映画全体としても、
映画の中でようやくほっと一安心できるシーンで
色々な緊張感がほぐれて得も言えぬ気持になる。


またこの映画では、
これまで「名作」といわれてきた
様々な宇宙映画、SF映画
オマージュも含まれていて
どこかで何かが繋がる感覚も面白い。

どこのシーンをとっても
光の当たり方、人物の映りかた
地球の陰影、雲の形、星のきらめき
全てが美しく感じる映画。



最近、がけっぷち映画が多いけれども
短時間にこれだけ多くの「がけっぷち」に
立たされる主人公も珍しい。


一番映画の中で印象的に残っているのは
「人はいつか死ぬけれども、
死ぬことがわかっているのは怖いわ」
とライアンが呟くシーン。

「いつか死ぬ」その時の為に
今を生きていると思うと
隕石衝突までの人間模様を描いた
エンド・オブ・ザ・ワールド」の
主人公たちの気持ちに相通ずる。
宇宙よりも地球に生きる人間が
好きっていう人は
こちらの映画もオススメ。


ちなみに、こちらの映画は
3Dで鑑賞すること請け合い。
東京ディズニーランドのミクロアドベンチャー
昔のスターツアーズが好きな方は特に。



「未知の世界=恐怖」を体現した映画。
是非、この冬劇場でご覧ください。



ゼロ・グラビティ
Gravity
2013
アルフォンソ・キュアロン