キャプテン・フィリップス

トヨタ、日産、三菱。


あらすじ
***
2009年3月28日。

マークス海運に勤務するリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、
マークス・アラバマ号の船長としてオマーンからケニアへ援助物資を運搬するため、
アンドレア(キャサリン・キーナー)や2人の子どもたちとともに暮らす
米国バーモント州の自宅を出発。


到着したオマーンのサラーサ港では、
ベテラン船長らしく手際よく出航準備を進めてゆく。
乗組員は20名。

マークス・アラバマ号は予定通り
ケニアのモンバサ港へ向けて出航するが、
海賊の活動が激化する航路上で、
2隻のモーターボートの追跡に気付いたフィリップスは警戒を指示。

ドバイの英国海運オペレーションとの交信を傍受した海賊も、一度は引き返した。
翌4月7日。再び追跡を始めた海賊がハシゴを使ってアラバマ号へ侵入。

大混乱の中、乗組員の大半は訓練通り機関室へ身を隠す。海賊は4人。
英語堪能なリーダー格のムセ(バーカット・アブディ)に、
血気盛んなナジェ(ファイサル・アメッド)とエルミ(マハット・M・アリ)、
そして、まだ少年の面影を残すビラル(バーカッド・アブディラマン)だった。

連行されたフィリップスからの“金庫に保管した3万ドルの現金を提供する”
という提案にムセは満足せず、ビラルとフィリップスを伴って他の乗組員を探し始める。

ガラス片を床にばら撒く、電源を止めるなどの時間稼ぎによって、
機関室に隠れた乗組員たちが命を辛うじて繋ぎ止めると、やがて事態が急転。


隠れていた乗組員たちがムセの捕獲に成功したのだ。
これにより、海賊たちは現金3万ドルを受け取って
アラバマ号の救命艇でソマリアへ向かうことを決断。

しかし、救命艇の発進直前、フィリップスが人質に取られてしまう。
船会社との交渉によって、身代金を手に入れようというのだ。
その頃、事件を知った米軍も救出に動き始めていた。


一瞬の隙を狙って進行する救出作戦。
全世界が固唾を飲んで見守るその結末とは……?

http://movie.walkerplus.com/mv50855/
***


緊迫感あふれる映画の構成。
息をつかせないシナリオでした。

安定のトム・ハンクスの演技も光ってました。
彼が演じる「キャプテン」は、
この映画といい「プライベートライアン」といい
どれもいい味出してます。


アメリカ、ソマリアというと、
映画「ブラックホークダウン(以下、BHD)」で有名な
1993のソマリア内乱が有名ですが
この映画はそれと並んで人々の記憶に残るのでは。


この映画では、出てくる主要人物の背景を
丁寧に描いているのも良い所。

フィリップスが家から出勤し、
船長として航行するのと同じように
ムセが村から海賊として海に乗り出すまでが
同じぐらいの時間軸で描かれている。
同じ人間として、彼らの「行為」の「理由」が描かれている。

特に、ソマリア人海賊を「ただの海賊」とせず、
彼らが海賊という非人道的手段を取る
「理由」「背景」を観客に伝えているのが良い。
もちろん、ムセ達の理由が
現社会にはびこる海賊たちの
全ての理由にはならないけど、
理由の一部になりうるから。



映画が伝えたいのは、
「こうした勇敢なアメリカ人船長が居た」という事実だけではないのは
こうした丁寧な背景描写を見ていてわかってくる。


彼らの海賊行為は、マフィアによるキドナッピングと同じだと
パンフレット内で真山さんが書いていますが、
彼らの言葉を借りれば金を得るための単なる「ビジネス」なんだという事実。
(パンフレットの真山さんの評論、面白い)

また、一人の人質を救うために、
たった4人の海賊(武装してても素人に変わりない)に対して
フルスペックの装備で立ち向かう凄さ。
一人の国民救助への全力ではなく、国家威信を保つためのフル装備。
この米政府が持つ価値観は本当に凄いな、と思います。いつも。


社会的問題にまでスポットを当てるような作品作り、
見た後に「あぁ、キャプテンが助かってよかった」という
無味乾燥な感想等抱かせないシナリオ。


ただの漁師が漁師として生活できなくなる社会背景。
アメリカとソマリアが抱える国際問題。

色々な切り口を持って考えるきっかけを与えてくれる
良い映画と言えんじゃないかなぁ


アメリカとソマリアの関係について知るなら、
やっぱり「ブラッホークダウン」は欠かせないのかな。


ちなみに、堅苦しい社会問題の描写がこの映画の魅力ではなく、
フィリップスの人間的な強さ、柔軟性、
船員たちの強さもまた見どころ。

監督のグリーングラスは、「ボーンスプレマシー」「グリーンゾーン」。
脚本のビリー・レイは「ニュースの天才」の監督やっていたり。
どちらも社会派作品を多く手掛けているんだね。


キャプテン・フィリップス
Captain Phillips
2013
ポール・グリーングラス