清須会議

清須ってどこだ



あらすじ
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天正10年(1582年)。

本能寺の変で、一代の英雄・織田信長(篠井英介)が明智光秀(浅野和之)に討たれた。跡を継ぐのは誰か……。


後見に名乗りをあげたのは、筆頭家老・柴田勝家(役所広司)と後の豊臣秀吉羽柴秀吉(大泉洋)であった。

勝家は、武勇に秀で聡明で勇敢な信長の三男・信孝(坂東巳之助)を、秀吉は、信長の次男で大うつけ者と噂される信雄(妻夫木聡)を、それぞれ信長の後継者として推す。

勝家、秀吉がともに思いを寄せる信長の妹・お市様(鈴木京香)は、最愛の息子を死なせた秀吉への恨みから勝家に肩入れ。

一方、秀吉は、軍師・黒田官兵衛(寺島進)の策で、信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方に付け、秀吉の妻・寧(中谷美紀)の内助の功もあり、家臣たちの心を掴んでいくのだった。

そんな中、織田家の跡継ぎ問題と領地配分を議題に“清須会議”が開かれる。

会議に出席したのは、勝家、秀吉に加え、勝家の盟友で参謀的存在の丹波長秀(小日向文世)、立場を曖昧にして強い方に付こうと画策する池田恒興(佐藤浩市)の4人。


様々な駆け引きの中で繰り広げられる一進一退の頭脳戦。騙し騙され、取り巻く全ての人々の思惑が猛烈に絡み合っていく……。

http://movie.walkerplus.com/mv51112/

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小日向さんを見に行ってきました。いいですね。


実在した”会議”を基に作られた時代劇。
三谷作品の鑑賞は2作目だけれども、今作を含め正統派の三谷作品を見ているとは言えないな、と思っています。
(ちなみに、三谷作品鑑賞の1作目は「12人の優しい日本人」)


今回の映画、久しぶりの邦画だったわけですが、何が良かったって出演している俳優陣とその演技です。日本の演技派俳優が結構出ていて。小日向さんはもとい、その他主役脇役も安定している布陣でした。言葉や動きの一つ一つに味があって美味しい。


時代が変われど人間の中身は変わらないもので、人間の心模様が如実に書き出されたシナリオでした。秀吉や勝家が対立する簡単な構図にもかかわらず、それぞれに係る登場人物もまた様々な想いを抱いていて、その有様が物語に深みを与えていました。いつの世もこうした人の心は同じだ。


やっぱりいい演技は顔が生きていて、雰囲気が伝わってくるなぁ。
平面的なあのスクリーン(画面)から立体的で躍動感のある雰囲気が伝わってくるのは本当にすごい。


パンフの中で、美術、衣装、音楽共に監督が褒め称えている。その中でも衣装がとても目を引いた。なにより「着てみたい!」と思わせる素敵さ。生地の一つ一つ、柄の一つ一つがとても丁寧に作り込まれている感じがとてつもなく映画の質をあげている(と思う)。登場人物のイメージや縁(ゆかり)ある品を羽織や着物に活かしているのって、本当に芸が細かいというか。着用しているものが、人の成りを言葉なしに表している。それを見ているだけでも面白い。

美術もとても精巧に、美しく仕上がっていて驚いた。
胡散臭さが無いと言ったらウソだけれども、こちらもまた障子の半紙一枚も気を抜いてないのがよくわかった。
(信雄が手刀で穴開けているところで、特に気を使っているんだなーっていうのがわかる)


人物像を演技の中で作っていくのもすごくうまくて、見ている人を混乱させないというか。
たぶん、監督の思ったままの人物像に仕上がっているんだろうな。演じ手の役に没頭している感が伝わる。
見ていて潔いというか、気持ち良いというべきか。ストレスフリー演出。


あーだこーだ御託を並べたが、ここまで余り中身のあることは言っていない。
しかしながら、プロフェッショナルな映画は、シナリオに関係なく人を感動させる。
今年は観た映画の本数こそ少ないが、そんな幸せになれる映画との出会いが多くてとても幸せ。


三谷作品、次は舞台「国民の映画」が観たい。
これも小日向文世さんが出演している、しかも主演で!
時代設定はWW2最中のナチスゲッペルス役が小日向さん。
これは、見るしかない。



清須会議
三谷幸喜
2013