The Road

火を運ぶ者



あらすじ
***
世界の終焉を迎えた未来。荒廃した大地を、
ショッピングカートを引いた父親と少年が
南に向かって歩いている。

親子の全財産は、防水シート、ポリ袋、毛布、双眼鏡と拳銃だけだった。

わずかな生存者は皆、
燃料と食物を探してさまよっていた。
そんな中、道端の車中で寝ていた親子は、
トラックに乗った武装グループに襲われる。

少年を捕まえた若い男に
向かって父親は銃弾を放ち、難を逃れる。

彼らは人食い集団だった。


父親は少年に、自分たちは“善き者”
であり続けることを説く。
父親は眠る度、少年の母親の夢を見る。
世界の終焉を迎えたあと、
彼女は重い心の病を患った。
そして少年を産むと闇の彼方へ消え、自ら命を絶った。


父親は彼女と決別するため、
写真と結婚指輪を捨てる。
親子はある日、地下シェルターを見つける。
中にはたくさんの食料があった。
2人は身なりを整え、空腹を満たす。

しかし、シェルターの外を
うろつく人間の気配を感じた父親は、
積めるだけの食料を持つと、
嫌がる少年を連れ再び旅立つ。

2人は、杖をついて歩く老人と出会う。
少年は、イーライと名乗る
その老人に食料を分けてあげようと言う。
父親は渋々、少年に従う。
目の悪い老人は少年を見て、天使が現われたのかと思う。
少年は、なぜ父親が老人に冷たい態度を取るのか、理解できなかった。


親子は浜辺に辿り着く。
その夜、少年は高熱と嘔吐に襲われる。
少年は父親に、自分が死んだらどうするかと尋ねる。
父親は、一緒にいられるように自分も死ぬだろうと答える。

http://movie.walkerplus.com/mv46404/

***


静かなのに力強い。
父親役のヴィゴ・モーテンセン
いつも馳夫役ですね。
荒野を生き抜くサバイバー
なんなのでしょう…いつみてもおんn(ry


原作者であるコークマッカーシー
自分の息子の為に書きあげた作品だと読みましたが、
父と子の愛が見るものの心に訴える。


「破滅は女が連れてくる」というのが
私の持論なのですがこの作品でも健在でした…
女の人の心の葛藤や不安描写、
シャーリーズ・セロンが演じた
母親の心の動きも切なさ倍増。


そのあたりの男女のセンチな部分の描写も
原作だと凄く丁寧に書かれているんだろうな…と
思わせてくれるシーンでした。
しかしまぁ大きな病気もせず
生まれたばかりの子どもが
あそこまで大きくなるもの凄いなとは
思いましたがそこは映画補正…



あんな世の中で「正しく」生きることに
何の意味があるのか、というところ。
正義を貫いて生きるという難しさと
単に生きていくことの難しさと。



人食い軍団なんかもリアルだよね。
きっと今の世がそうなったら、
一部の人間はそうなるんだろう。
人肉食は手が震えますから、気をつけないと。


追って追われてのあたりで、
最後の盛り上がりの部分
盲目の老人や盗みを働いた若者のあたりで
父親の「正義」という存在が次第に
クリアなものから「本当にそれ正義?」と
あやふやな感じになっていくのも
また面白いなと思った。


これまで子どもからの視点のように
彼のいい面しかみてなかったけど
意外にコイツも利己的なんじゃねぇの、と。


何が正義で何が悪かわからない時代に
生きることのむずかしさという言葉では終わらせられない。
きっと彼らの生きた世界もこの世界も同じなんだ。


最後のシーンは
悲しみと驚きと喜びが一緒になって心に流れ込む。
安堵の瞬間の次にまた辛い旅の始まりが告げられる。


静かで、力強くて、どこか懐かしさと憧れを感じる映画でした。



監督のジョン・ヒルコートは2013年公開の「欲望のバージニア」が最新作。




ザ・ロード
The Road
2009
ジョン・ヒルコート