World War Z

Z for Zombie


あらすじ
***
マックス・ブルックスの同名小説を、
ブラッド・ピットが自ら製作を担当し、
映画化したパニック・スリラー。

世界規模で急激に蔓延し、
全人類を滅亡に誘う謎のウイルスと、
それに立ち向かう人々の戦いを描く。


ブラッド・ピットは人類の希望たる国連職員に扮する。
監督は『007 慰めの報酬』のマーク・フォースター


中国僻地で発生した謎のウィルスが爆発的に全世界へと拡大。
このままでは、世界は90日以内に滅亡する。
全人類を絶滅へと導くウィルスの感染を防ぐため、
元国連調査官のジェリーは、
愛する家族と離れ、世界を駆け回る。

しかしすでに政府と軍隊は崩壊、感染の速度は加速し続けていた……。


***

はいはい、ブラピブラピ。
原作の良さはそのままに…と
言いたいところではあるが
そんなことはなく。


一緒に観に行た方が仰っていたのだけれど
ゾンビ映画は特権階級が主人公じゃダメ」。
そういうものです。


ゾンビはそのキャラクターを通じて
現代人を風刺するのがその役割として
位置づけられている部分もあるのですが
この映画では完全に現代人の
パニック要素としての道具。

でもパニック要素以外に役割があるの?と
思う人がいるかもしれないね。
私もそうだったから・・・
そうじゃない役割を持ってるものもいるのよ。


Walking Dead的な人間が極限に追い詰められて
生活する風を描くところではなくて
「ゾンビという感染者がパンデミック的に広がったら楽しいだろう」
という観点でゾンビが描かれているから
あくまで感染者という患者扱い。

あくまでパンデミックものを楽しみたければ
コンテイジョン」が面白いよ。


イスラエルの壁の話もすごく宗教的で
他の方のレビューだとノアの方舟的なイメージだと
書かれていたけれど、そこまで深い意味合いがあったのかなぁ。


イスラエルが”護られる場所”的な意味は
すごく宗教的だけど、映画的にはすごく意味のないシーンというか。
なんのためにあのシーンを入れたのか、うーんって感じ。


しかしまぁ、期待されていたウイルス学者が
思いがけず早い段階で自害しちゃったり、
観客としてはもっと搔きまわしてから死んでほしかった(失礼


あともうちょい!え!?そこで!!!ええぇえ
っていう展開が多かった。
「インドに行っても0号患者には会えない」って。
これまでの苦労を労ってくださいよ…


飛行機墜落しても頚椎損傷もなく生きてる…
女戦士…歩いている!?冗談がきつい


墜落場所がウェールズ側。
出木すぎ。



全てが予定調和。
平和な世界。



極めつけは最後のシナリオ。
「世界のどこにも平和な場所なんてない」と豪語した主人公は、
カナダの感染者フリーエリアに逃げた家族と再会。
なんだろう、子のはらわた煮えくり返る感じ。


こういう終末系の作品は
必ず”救い”または”救われない”エンディングが
描かれるのだけれど、この映画で欲しかった”救い”は
この形ではないと強く思った。ちょっとがっかりした。


まるで「日本沈没」の会津地方だけ
無事に残ってるシーンのような
不釣り合いな感じがヤバイ。



その他いろいろ突っ込みたいところは沢山あって。
ブラピ見るにはいいけど、
ゾンビ見るには一寸なぁというところ。
伝えたいテーマも特に感じないし。



映画を観終わった後に
猛烈に小説(原作)読み返したくなった。



ワールドウォーZ
World War Z
マーク・フォースター
2013