クラウドアトラス

be free like 'emな映画でした・・・


あらすじ
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初老の男ザックリーには、時空を超えたいくつもの“自分”の物語があった。

1849年の太平洋諸島。“彼”は医師ヘンリー・グースとして弁護士ユーイングと出会う。ユーイングはホロックス牧師と奴隷売買の契約を交わす。島で罹患したユーイングに、グースは無料の治療を買って出る。

1936年、ユーイングの航海日誌を読む音楽家フロビシャーは父親に勘当され、恋人シックススミスのもとを離れて、スコットランドの作曲家エアズの家へ押し掛ける。フロビシャーはエアズの採譜者を務めながら、後に幻の名曲となる「クラウド アトラス六重奏」を作曲する。フロビシャーからの最後の手紙をシックススミスが受け取った37年後の1973年、サンフランシスコ。


物理学者となったシックススミスは、人命に関わる原発の報告書をジャーナリストのルイサに託そうとして殺される。原発の従業員アイザック・スミスである“彼”はルイサと恋におち、会社を裏切る決意をする。


2012年のロンドンで“彼”は作家ダーモット・ホギンズとして著書を酷評した書評家を殺し、カルト的英雄となる。大儲けした出版元のカベンディッシュはダーモットの弟たちに脅迫される。


2144年、遺伝子操作で作った複製種を人間が支配する全体主義国家ネオ・ソウル。複製種ソンミ451は密かにカベンディッシュ原作の映画を観て自我に目覚める。革命軍チャンと恋におちた彼女は、自ら反乱を率いる。


ソンミが女神として崇められる地球崩壊後106度目の冬の地で、進化した人間コミュニティーからの使者メロニムが若き日のザックリーの村を訪れる。ザックリーがガイド役となり悪魔の地と呼ばれる険しい山の山頂にたどり着くと、メロニムの驚くべき使命が明かされる……。

http://movie.walkerplus.com/mv51113/
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束縛からの解放、勝ち取る自由、与える愛情を表現しようとした映画。ウォシャウスキー姐さんも最近性の束縛から自由を得たというところで、すごい訴えてくるものはあった。笑


映画の前評価、youtubeでのCMで観る前からだいぶ期待が高まっている作品でした。まぁでも本当にいい作品ならもっと違う盛り上がり方をしていただろうし、アカデミー賞のレースにだって参加していたはずだという今更ながらの気づき。


映画自体は、すごくふわふわしている。いろんな時代のいろんな主人公が”めぐるめく”出たり消えたりしてタイムワープを何回も繰り返す。話を掴もうと思っても、つかみきれないまま消えていく感じ。話を理解しようとするのは途中でやめた。理解しようと思っていると、ストーリーに置いていかれてしまう。

個人的にはDO NOT THINK!JUST FEEL!!な映画だった。その結果が、上の「束縛からの解放、勝ち取る自由、与える愛情」の一文なんですが、随所にその暗示と言うか行動や意思が見えるのが面白い。あぁ、ふりかえるとじわじわと楽しさがわかってきたかもしれない。


しかし、「ソイレント・グリーン」がまさか劇中に登場するとは思わず、ソイレント好きの私、歓喜!!!!まさかの2013年の映画で「ソイレント・グリーン」の単語が聴けるなんて。それに『ソイレント・グリーンの原料は人間だ。』も言ってましたね。チャンがソンミに見せたあの工場に積極的に観察を行っていたのは、あの劇場で私だけだったのではないだろうでしょうか・・・誤解を恐れずに言いますと、わが心の故郷をリメイクしてくれたあの場面に人知れず感動していました。


束縛からの解放、自由の獲得っていろいろな手段があんだなーっていう。その原動が大体「愛」だからまた・・・。ちなみに自由の獲得の方法は拳銃自殺、奴隷解放、宇宙へのSOS、予言への背信などね。


まぁ途中から仮装を楽しむようになってしまったから、本来の意味での映画を楽しんでいたかは定かではないです。本だとね、想像補完できるからいいんだ。でも、映画だとやはり配役に違和感を感じるところはあったよ。”人の繋がり”も、割とちょんちょんちょんと話が変わっていってしまうのでついて行くの大変だったし・・・本当に作品が伝えたかったのは、そういう部分なんだとしても私にはあまりストレートにそれは響かなかった・・・


でもね、ヒュー・グラントの笑顔とかさ、ヒューゴ・ウィービングのマジ顔(殺し屋役)とかを観れて満足なんです。まさかの女装に、アジアンメイクは本当に”THE 特殊メイク”で面白かったよね。笑



人は生まれ変わっても、どの時代に生まれても、誰であれ何かしら精神的・肉体的束縛を受けていて常にそれと戦っている。無意識的・意識的にそれらと戦い、勝ったり負けたりしながら自分自身の自由を獲得していくんだなっていう。



「早く何とかしないと、今に食糧生産のために人間を飼うようになる。その前に何とかしなくてはならないんだ!」



クラウド アトラス
2013
ウォシャウスキー姉弟
トム・ティクバ