アンドロメダ・・・

1970年代のSF映画で描かれる近未来に憧れる。


あらすじ
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ニュー・メキシコの小さな村に落下した衛星を回収にいった陸軍の兵士たちは、村にふみ込んで一瞬息を呑んだ。

あたり一面に住民の死体が転がっているのだ。一方、本部では、村の異常を伝える兵士の声が突然悲鳴に変わり、電話が切れてしまったため、急遽、非常体制をとり、待機していた4人の科学者を動員してワールドファイア計画を発動させた。

4人はストーン博士、ダットン博士、ホール博士の3人に、女性のルース・レービット博士を加えた、アメリカの最高権威であった。

現地に飛んだストーンとホール博士は、住民たちの急死は、衛星の中の微生物が住民たちを襲ったためと断定したが、死者の血液を粉末状にするほど凝固させてしまう生物の正体は、見当もつかなかった。

さらに不可解なのは、住民たちの中の2人だけが生存していたことである。地酒の好きな老人ジャクソンと、乳飲み児の2人だった。超近代的な研究所で、衛星と2人の生存者を研究資料に、博士たちの必死の研究が始まった。


科学者はその微生物を“アンドロメダストレイン"と名づけ、コンピューターを主にした各種装置を駆使して、アンドロメダの分析研究は着々と進められたが、依然、撲滅のための手掛かりは何もつかめなかった。

ホール博士が医学研究員のミス・カレンと乳飲み児の反応検査をしていたとき、突然ランプがつき、けたたましい“汚染"のアナウンスが所内を流れた。汚染したのはダットン博士の研究室で、ダットンはガラス越しにストーン博士に励まされながら真青な顔をしていた。


アル中の老人と、泣きじゃくる赤子から手掛かりをつかみかけていたホール博士・・・どうなる地球人。

http://movie.goo.ne.jp/movies/p654/story.html 一部抜粋)
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1971年劇場公開の「アンドロメダ」。その後、リドリー・スコットによりリメイクされている名作。

この作品はマイケル・クライトン著の「アンドロメダ病原体」が原作となっており、ストーリーそのものも非常に魅力的な仕上がりになっている。手に汗握るじわじわとくる恐怖と驚きが連続して観る者に迫る。


監督によるインタビュー映像によると、ちょうどこの映画が製作されたころ、女性の社会進出がアメリカで盛んに行われていたそうだ。そのため、この映画の中には紅一点ルース・レービット博士が出てくる。

本当は全部男性で固めるそうだったが、そうした社会背景もあったために女性の博士を一人登場させたそうだ。ただ、面白いのは目を引く美女ではなくとてもシニカルでジョーク好きな”おばさん”博士を投入したこと。

従来、というか近代の映画で良くみかける抜きん出た美女を採用したのではなくその辺にいる(といったら失礼だが)おばさんを登場させたのだ!!!これってすごく衝撃的だと思う。美女を出さなくても、映画が成功することを確信していたのか、こういうキャラが映画を際立たせるというゆるぎない確信があったのか・・・とにもかくにも、とてもよい味を出しているキャラの一人。


それ以上に、私が垂涎したのは1970年代のプロダクトたち。制御室や研究室、または役者の来ている衣服。すべてがもう輝いてみえて。

ちょう1960〜1970年はモダニズムが流行った時代だということで、こうした映画に出てくる近未来を現す先進的なグッズはどこか古臭くてでもスマートなデザインが目立つ。色の幅は割とあるが、無駄がなくて綺麗でストンとしているんです。とってもかっこいい。現代の小物屋さんや家電屋さんにあっても別に違和感のない外観のデザイン。とっても素敵。

私が好きだ好きだというプロダクトデザインのデザイナーの皆さんもこの時代からメキメキと頭角を現し始めた人が多い、というかプロダクトデザインの楚を築いた人が多い。

何度見ても、ストーリーよりそっちの方に目がいってしまって二度三度巻き戻しては観てた。


監督のロバート・ワイズは、かの有名な映画版「サウンド・オブ・ミュージック」の監督でもあり、「スタートレック」の監督でもあり、「世界が制止する日(1965年版)」の監督でもある凄いお方。映画版の「サウンド・オブ・ミュージック」は小学校の時に観たなぁ。でも先生がラブシーンのとこ意図的に早送りして「こんな大人には絶対なりたくない」と思った。ラブシーンって言っても、手を繋いでキスシーンぐらいなのに!皮肉にも、その映画ではそのシーンが一番思い出に残ってて。笑


そして、この「アンドロメダ・・・」すべてにおいてどこか古めかしいのだけれど、どこか新鮮な作品。映像の撮り方、見せ方、CGもろくにないころに工夫して作られている。今のようにCGに頼り切った演出でないのが、またすごく魅力的でね。併せてみたいのは「時計じかけのオレンジ」。あれも同じころの公開で、劇中の小物たちがまた良いんだよ。


アンドロメダ・・・
The Andromeda Strain
1971
ロバート・ワイズ