砂漠でサーモン・フィッシング

ポール・トーディの小説『イエメンで鮭釣りを』を映画化した作品。


あらすじ
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砂漠の国で“鮭釣り“をしたい。
そんな難題をふっかけられてしまった水産学者が奔走する姿を描き、英国でベストセラーになった小説を映画化。

『ショコラ』や『サイダー・ハウス・ルール』など数々の名作を手がけてきたラッセ・ハルストレム監督が少し奇妙な物語を感動ドラマに仕上げている。

出演はユアン・マクレガーエミリー・ブラントら。

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2013年1本目の映画となりました。
ユアン・マクレガーが最初の1本となったこと、本当に幸せ。
この映画には”a prize pupil”の称号を与えたいですね。


「サイダー・ハウス・ルール」を撮っていた監督と今知って、興奮冷めやらぬ状況です。トビー・マグワイアの良さを十二分に出しているあの映画を撮影した監督だからなのか、今回のこの作品もユアン・マクレガーの英国人としての良さを十二分に出した良い作品となっています。



”イギリスと中東の関係性を事前によく知っているとより楽しめる”というレビューも散見しますが、特にそうした情報がなくても楽しめると思います。日本人にはなじみの薄いイエメンがでてきますが、イエメンに関する事細かな情報は一切必要ありません。ただ単に「イエメン」という国名が出てきているだけで、その他は一般的な人々が「中東」をイメージした時に出てくる「砂漠」「成金の富豪」「タバーンを巻いた反抗勢力」の3つしか出てこないから。


アフガニスタン紛争関連のイギリス兵派兵は、ストーリーに関わってきますがそれもあまり深く知らなくても楽しめます。



そう、だから”a prize pupil”。専門的知識がなくても、だれでも楽しめる映画。




映画の軸となるストーリーもそれなりに楽しいのですが、ストーリーの他にも「イギリス人も日本人と同じやないか」と思わせる官僚の仕事のしなささや、ユアンの描くイラスト(これは最高だった!)、外務省官僚と首相のチャット、環境庁職員の反乱(これも最高w)・・・細かいところでいろいろと笑わせてくれるのです。


そして、美しいスコットランドの牧歌的風景と対照的なイエメン(モロッコ)の砂漠風景の対比が美しいです。ビアトリクス・ポッターの描くスコットランド湖水地方の風景ってこんな感じなんだろうなぁという、典型的な緑豊かな風景。本当美しい。国土面積は日本より少ないはずなのに、やはりこうした自然がばぁぁーっと広がる風景が見れるのは、いいなぁと思います。



本題からそれましたが、やはりこの作品でも女という生きものは”自由奔放”で、羨ましくもイライラしてみてました。ははは!


最後のあの終わり方じゃぁ、戦火を生き延びた軍人の彼が救われない。彼にはもっといい女が見つかるよ!とエールを送りたいです。戦場ではなく、彼女とのフラれ方にPTSDになるんじゃないかとヒヤヒヤです。



この映画”a prize pupil”なだけに、突っ込みたいところたくさんあるんです。生態系の循環を人間の夢や信心だけでぶっちぎるところやスコットランドとイエメンの映像の往復における時間経過の説明がないところ、鮭の遡上にあ然など。鮭の遡上シーンは、本当は感動のシーンなんです。信じる心があれば、夢は叶うという素晴らしいシーンなんです。だから、映画を見たらこのシーンで感動してくださいね、監督もそれを望んでいるはずです。笑


5000万ポンドの金が文字通り流れるシーンは、どことなく悲しい気持ちにもなりましたが、あの激流で主要人物が誰一人しなないシナリオに敬服です。主人公たちで丸く収まる恋愛、仕事、夢。素晴らしい。



いや、でもやっぱりユアンがイギリス人を楽しそうに演じているのはいいね。スコットランドの撮影も楽しんでいた雰囲気が伝わってきていい。
トビケラ論文の表紙、クモに食べられてる写真がやっぱりいいよ笑
BBCのネイチャー班頑張ったな!




2012
ラッセ・ハルストレム
Salmon Fishing in the Yemen


http://www.google.co.jp/movies?near=utsunomiya%2C&q=%E7%A0%82%E6%BC%A0%E3%81%A7%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0



a prize pupil=優等生