トータルリコール

目玉の見開く愛しき描写
期待しました、最後まで。


以下、ネタばれです。



あらすじ
***
近未来、“記憶”は簡単に売買されるようになっていた。

大きな戦争を経て正常な環境を失った世界で、人々はわずかな土地を、裕福なブリテン連邦と貧しいコロニーという2つの地域に分けて暮らしている。
退屈な日常に飽き、刺激を欲した人々は、人工記憶センターであるリコール社の人工記憶を買って不満を解消していた。


コロニーで暮らす工場労働者のダグラス・クエイド(コリン・ファレル)も、来る日も来る日も工場で働く日々にふと嫌気がさし、リコール社を訪れる。しかし、彼が記憶を植えつけようとしたとき、突然、ブリテン連邦のロボット警官隊が襲撃してくる。


クエイドは自分でも知らなかった戦闘能力を発揮して逃げ切るが、帰宅すると今度は彼の妻ローリー(ケイト・ベッキンセール)が襲ってくる。ローリーはクエイドに、記憶を消されて新しい記憶を植え付けられただけで、この世にダグラス・クエイドという人物は存在しない、と告げる。


ローリーを振り切ったクエイドは、行く先で数々の謎のメッセージを受け取り、メリーナ(ジェシカ・ビール)と出会う。

メリーナは信用できるのか?
自分は誰なのか? 


クエイドはその答えを見つけられないまま、ブリテン連邦とコロニーの運命を握る戦いに巻き込まれていく。

***
【凡例】
前作=シュワちゃん主役作品
原作=PKDの小説
PKD=フィリップ・K・ディック


ブリテン連邦はともかくとして、現存するオーストラリア大陸をコロニーと呼んでしまうその心意気がすごいwオーストラリア人の反応が気になるところ。そんなところにばかり気を揉む私でした。


そして原作、前作でキーになっていた火星は完全排除☆





【全体】

純粋に映像の流れやストーリーが面白くて、珍しく飽きもせず映画が見れました。前作を知ってみていると結構ニヤリ場面が多くて面白かった。

コロニーと呼ばれる街のイメージが完全に「ブレードランナー」の世界とかぶった。あのごちゃごちゃと密集した建物。人の群がりとネオン。そしてあのヌードル屋を彷彿とさせるバー。やはりごちゃごちゃした世界観は東南アジアに勝るものはないらしく、この映画のスラム的な街もやはりそのようだった。

だけど言語が中国語メインだったね。ブレードランナーではとにかく日本ばかりだったのに。時代背景の違いを感じた。ちなみにブレードランナーはちょうど日本の高度経済成長期に製作・公開されている。


ちなみに、中国語のほかに韓国語やロシア語もちらほら。たまにチョイ役のように日本語が出てきてたけど。そういうゴチャガチャした街並みにしたくて設定したコロニーなのか。私はたぶんあのゴチャガチャ感は苦手である。


とにかく「あれ、これ絶対ブレードランナーとかあのあたりから持ってきてるよね」って思う人はたくさんいるだろうという雑感。



【リコール】
リコール社関連というわけではないけど、おっぱいが3つある売春婦がでてきたりリコール社のCMが電車で流れたり、いい感じに前作の演出が垣間見れて満足した。


そしてリコール社のマシンは近代的だった。コロニーという言葉に騙されて、貧困者しか住んでいないかと思いきや裕福層から底辺までさまざまな人がいるようだ。そして社長らしき男がアジアンだった。仏像の頭も置いてあったり。この映画のオリエンタル・リスペクト()が伝わってきた。




【おばさん】
話の終盤手前、貴金属探知機を変装して通り抜けようとする主人公。その前を歩くふくよかなおばさん。「お、もしや?まさか?」と思わせるひと癖に騙されたワタシwwww


前作では主人公がふくよかなおばさんに変装して簡閲を通り抜けようとしたシーンがありました。実は、あのシーンすごく好き。どれくらい好きかっていうと、そのシーンばかり巻き戻してみてみようかと思うぐらい好き。あのおばさんの頭部がまさかの分解と合体を遂げるあれな。あの前時代的な発想のテクノロジーがかっこいい。(おばあさんの頭がガションガションするあれ)

しかし今回はおばさんじゃなかったwwまんまとだまされたよ。一本取られたw



【トルーパー】
なぜ大量生産型ロボットは総じて白色なのか。という簡単に答えが出る疑問を映画を観ながら考えていました。今回でてくるトルーパーたち。どうみてもSWのストームトルーパーのようでした。フォルムは、ストームトルーパーとグリバースあわせて5で割ったような形状。あのデザインは結構好きだけど、あの腹部のフレームでいろいろ耐えきれるのかが心配w



【諜報員】
原作では戦闘員のような諜報員のような、そんな肩書だったかと思います。(あやふや)

今回は諜報員。イギリス連邦とコロニーの間で頑張る諜報員役。設定も原題風でいいんじゃないかな。シュワちゃんの馬鹿力(上腕二頭筋)はどうやってもこじつけにしかみれないけど、今回の設定は難なくてイイと思います。

ちなみに本作上映前の広告CMでシュワちゃん出てきたのは、この映画を観に来た客としては「おおお、お?w」と楽しめました。ナイスw
(ちなみに映画はエクスペンタブルズ2。「変身しなくても強い」という売り文句に爆笑ww)



【夢なのか、現実なのか】
最後の最後まで夢と現実の境目で観客を楽しませてくれて有難い。もう終わりか?と思ったところでの展開が楽しかったなぁ。


あと、同僚と彼女と主人公と妻とが一堂に会して騙し合いをするあのシーンも楽しい楽しい。「お前の隣で手を握っているんだよ。早く目を覚ませ」的なせりふ回しのシーンね。
ちなみにこのシーンは妻の振りするケイト・ベッキンセールが、作戦失敗した後の表情の変化を楽しむためのものだよ。笑


女って怖い。





【いろいろとつっこみたい】
①重力に勝ってる。
コアを通り抜けて地球の反対側に抜けるあの装置の最上階でバトルする主人公たち。あなたたち重力は大丈夫なのかよwハルク以上だよ、君たちは。


②伝言。
ちょいちょい出てくる主人公の元の記憶からの伝言。その伝言誰が残したの、とくに貸金庫のあれ。どうしたらあそこに保管されるの。いろいろ知りたいのに教えてくれないなんてケチだよ。ケチ。


③原作を忘れないで。
最後、申し訳なさそうに「RECALL」出すなよw最後の方、もうリコールとかそういうの良くわかんなくなってきたし。まぁそういう私も原作あやふやなんですけど。すみません。


④毒ガスどうしたw
「ダイエットはガスマスクでする」という名言を思い出したシーンw
てかガス充満してるのに建物の中で、しかもそこではずしていいんですか?w
突入隊、ガラス割って入ってきているけど・・・さすがにガスマスクだらけでシーンを撮るのは避けたかったのかなwガスマスクつけたままでのシーンも、シュールで面白いと思うけどなぁ。笑



【強い奥さん】
奥さんが対抗してくる、敵だったというのは前作同様。期待膨らむ。なんだかんだでずっと追っかけてくる強い妻だった。かっこいい。

目が狩人モードになると、X-MENの覚醒したローガンのようで美しい。





もういろいろと話したくって仕方なかったのに、書き始めてみるとどうでもいいことばかり。いつもどおり。ありがとうございます。




しかしながら、映画を観ながら時代は中国へ東南アジアへ中東へ移動しているのが良く分かる。出てくる代表言語がそれを物語っている。そうして彼らにとって労働力となる貧困層の代表格もそれだと物語っている。

イクラス世界の人間は白人ばっかりだったなぁ。あとは華僑のようなアジア人。たまたま私が目についた人間がそうだったかもしれないけれども。


火星にはいかずともPKDが描こうとしたわけのわからなさが良く出ててよかったんじゃないかな。おっぱいが3つある女の人の意味はよくわからなかったけどね。まぁでも科学戦争がおこったっていうくだりがあるから、観ている人はそれと結びつけるわけか。前作では放射能だったけど、さすがに時勢的にそれは難しいと判断したのか。


ディストピアとはまた別だが、誰かが誰かを支配するというミニマムな視点で考えると立派なディストピアか。



前作同様、アクションメインのストーリー展開で飽きもせずみることができる。女性受けはどうなのか、いまいちわからない。私は好きだけど。ダイハードっぽい無茶演出多いと思ったら、監督はダイハード4の監督だった。笑えた。



しかし張り裂けそうな目玉描写、期待したんだけどなぁw残念。
前作見てから行くとっても楽しめると思うよ。クスリと笑える瞬間たくさんあったよ。



2012
レン・ワイズマン
TOTAL RECALL