おおかみこどもの雨と雪

ワタシ「えぇーっと、こども、ください」
店員「!!?」




あらすじ
***

狼男と人間の間に生まれた雨と雪。
人間と大自然と身近な優しい人たちに育てられた彼らの話。

オオカミとして生きるか、人間として生きるか、
その選択を彼ら自身が選ぶその時までを
映画にした作品。


母親役の声優は宮崎あおい
父親役は大沢たかお

***


冒頭のやり取りはパンフレット買うときのやりとりです。
あぁ、恥ずかしい。




【全体的な感想】

みんなが好きになる、心を許す映画。
純真な女性、孤独だが心優しき男性の出会い。
誰だって一度は恋愛している、それが片思いで終ろうが、ケンカ別れで終ろうが、誰だって誰かを好きになることはある。

最初はそういう話から始まる。



そのうちに二人は同棲して、子どもができる。一女一男。
父親が死ぬ。オオカミオトコの、父親。


母子家庭となり、家庭を支え、子どもを育て、愛を伝える、女性である花。



強くしかることもせず、常に子どもたちを受け入れる母親。
子どもの頃を懐かしく思う瞬間。花に似ている母親でも、そうでなくとも、花と自分の母親を比べて、懐かしさを取り戻す瞬間。


元気な雪と臆病な雨を観て、今度は自分の子供時代を思い出す。
自分は、どちらに近いのか。
そうして人は感情を彼らに乗せていく。



そうしていくうちに自我が芽生える年齢になる雨と雪。
自分自身はどうだ。どうやって選択したのか、どの道を選んだのか。





人は、他人と比べて生きる生き物だ。
人より幸せか、不幸か、恵まれているか、貧しいか、可愛いか、かっこいいか、愛されているか、嫌われているか。




だから私は反則的な映画だと思った。誰しもがこの映画を観て自分の境遇と比べて憧れたり懐かしさを感じるはずだと思ったから。みんなが取り込まれる、この映画に、きっと。






【自然のこと】
話の舞台は、途中から中央線沿線(たぶん、国分寺・小金井付近)から富山県上市町へ移る。南アルプスの頂に囲まれた田舎。


おおかみこどもの二人を育てるべく、移り住んだ母・花。
二人の子どもは、田舎の人情と大自然に囲まれて育つ。


森の「先生」に会いに行く雨に、花も同行する際、その森に住まう生き物たちがたくさん登場する。クマ、きつね、フクロウそしてヤマネ。一瞬だったから定かでないけど、あれがヤマネであれば「あんなシーンは、たぶんありえない。」と言いたい。夜行性のヤマネが昼間に、あんな風に歩くなんて。←そんなことはありませんでした。コメントで教えていただきました。ありがとうございました。


映画では、ビジターセンターや自然解説のスタッフ、その内情も書かれていてなんとも。自分がやってきたことが映画で映されると、少し嬉しい。



だからこそ生き物の扱いは、もう少しきちんとやってほしかったという思いもある。子育て中の母熊が、人間をあの距離に見つけて襲わずにしかもゆっくりと逃げるものなのか。キツネが、「人間が感動するであろう景色」を知っているのか、など。


まぁでもそこはアニメ。
観ている人が感動して、気持ちをストーリーに乗せることができればいいのだろう。




【男女について】

たぶん、きっと男の人は花のような女性が好きになるのだろう。
たぶん、きっと女の人はオオカミオトコのような男性が好きになるのであろう。


どちらのキャラクターも、素朴でかっこよくて可愛くて且つ優しくて強い。
お互いにつらい過去を持ち、一人で生きる芯の強さを持っている。



恋愛の多様性も、一極化してきているならそれはそれで興味深い。



久しぶりにいい映画でした。


おおかみこどもの雨と雪
2012
細田守