地球保護区

400年前にほろんだ地球。
そこからの復活と宇宙に散らばった地球人の話。



400年前の地球が、環境汚染でほろんだ際にたまたま宇宙からの接触があった地球。その時、一部の地球人は地球から脱出した。


それから500年。
宇宙ではたくさんの星々に地球人の血を継ぐ人類が住むようになった。
同じころ、一度ほろんだ地球は自らの力で再生を遂げ、以前のような青い惑星となった。そして一部の人類は、無許可に地球への居住をはじめてしまう。


そのさなか、地球では人が突然いなくなる事件が多発する。その原因を探るべく、齢500歳のコーリン女史とシウという青年が地球へ降りる。

彼らは人攫いの原因を探りながら、幾多の困難を乗り越え、人がなぜ生きるのかという問いに懸命に答えを見つけ出す。



話の環境がまさに自然系と呼ぶにふさわしいような内容でした。ただし、従来私がこれまで読んできたSF小説とは、もちろん違うところが多くありました。

ひとつは書き方。最初は読みやすさを感じていたのだけれど、途中からとても読みにくくなってきた。主人公の感情の動きが余りスムーズに受け取ることができなかった・・・


ラノベっぽい書き方だなー、と思ったらやはり作者はラノベもたくさん書いてらっしゃる方でした。ライトノベルって、こういう読みごたえなのね・・・と勉強になりました。はい。


それはさておき、世界観は中々好きです。
地球が滅んで、でも人類は生き延びて・・・その後の世界では、なぜか地球から脱出した人類が500年も生きているとか、クローンで兄弟が1000人いるとか・・・突拍子もないことがあたりまえのような形で書かれていて、とても魅力的に感じました。



今まで読んできたSFは、地球の自然を舞台にしたものはあまりなかったと記憶しています。都市とか、寂れた都市とか、崩壊した街や村・国、栄えてはいるけれども統治された国家などが多かった。


けれども、これはサイエンスフィクションの世界を自然界にも置き換え、人類そのものの生きたにも置き換えてしまった。すごくそれが新鮮且つこうした作風のものに初めて出会った気がして、とても嬉しかった。


過去の著名な作品を観れば、地球の自然やそれに関連して農業やら生き物が人工になったり絶滅したりと、未来への警鐘ととれる表現が多かった。だけど、この作品は警鐘がメッセージではなく、人の生き様がメッセージの中核だった。だから、地球の自然崩壊などは重きを置かずにすこーんと軽く飛び越え、そのあとの話の展開に時間を割いていた。


今、自然破壊という言葉が当たり前になったがために、こうした話の持っていきかたにも違和感を覚えず、且つ親近感の枠未来としてとらえることができるのだろう。親近感がわくといっても、現実に起こり得ないと高をくくっているから、余計にフィクションとして感じることができる。

だって、宇宙人との接触だなんてありえないもの!
(この作品と並行して、クラークの「幼少期の終わり」を読んでいた私としては、地球外生命体との接触は何ら特殊なことではなくなっているが)




長くなりましたが、これはこれで面白かったよ。
またこの人の別の作品も読んでみようかな、と。



地球保護区
小林めぐみ
ハヤカワ文庫