パーシー・シュマイザー モンサントと戦う

種子メジャーV.S.農家
大企業V.S.農民
食料支配・・・?
ターミネーター遺伝子・・・?



あらすじ・・・?
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カナダの農民パーシー・シュマイザーの菜種畑は、1997年、風で飛ばされてきた遺伝子組み換え(GM)種子によって汚染された。

彼は50年間の仕事の成果を全て失った。

その上、GM種子を開発したモンサント社特許権の侵害で訴えられた。

裁判所は彼に損害賠償金の支払いを命じた。モンサント社は彼と家族の行動を監視し精神的ダメージを与え続けた。

しかし、パーシーと妻ルイーズはその圧力に屈せず最高裁に訴えた。


米国でも同様にモンサント社に抵抗する農民達がいた。


モンサント社の狙いは何か?
巨大企業に立ち向かう農民を支えるものは何か?
最高裁の下した判決は?
***


種子メジャーで多国籍企業に立ち向かう農家夫婦の話。どうして大企業が一農家を相手に訴訟を起こしたのか。彼らはどうして戦うことになったのか。シュマイザー夫婦に実際に起こった訴訟問題に焦点を当て、その他の国でも種子メジャーと戦う農家へのインタビューも織り交ぜながら、今世界が直面している種子供給、食糧供給の問題の”絡み”をはっきり映し出した映画になっている。


農家の視点、科学者の視点、また”問題”を推進する人々の視点。それぞれに主張があり、それぞれに体験があり。




シュマイザー夫婦が農業を営むカナダでは、GM作物による農地汚染が進んでいる。今となっては汚染されてないナタネ畑を探すことは不可能だそうだ。これがどれほど深刻なことであるかはあまり表立って注目を浴びない。ちなみに、種子メジャーとは作物の種子を販売する大手企業のこと。



やっぱり、ここらに出てくる大企業のすることはとても面白くて、彼らのなすことやること全てがキャッチコピーとは反する効果を生み出している笑”もうどこであろうと誰に対してでも、”彼らが勝つための戦略”をとことんやりこむ姿勢、巧みな戦略・策略、ある意味で商売上手であることがとてもとても興味深い。(もちろん、彼らが前進していくごとに深刻な問題、課題を生み出している状況がとても憎らしい。けど、どうしてこういうことをするのかを知りたい好奇心が興味へと変わった)



世界で大きな力を持つ種子メジャーはたくさんあるがその手法は割りと共通している。自社開発の遺伝子組み換え作物(以下、GM作物)とそれに適応した農薬をセット販売する。販売時に種子に関する取り決めや、種子を勝手に売買した際の賠償金、企業の命令・通達に素直に従う等々の契約内容を農家と結ぶ。



こうした種子メジャーは、契約農家以外の土地で自社製品のGM作物を見つけると「弊社の種子があなたの土地で見つかりました。これは契約違反です。今すぐ罰金ならびに使用料を払いなさい」というんだから、見に覚えの無い農家の人々にとってはあいた口がふさがらない。唖然としてしまうのである。


シュマイザー夫婦はそうした”(契約してないのに)契約違反を犯した”と主張する種子メジャーの告発を受け、理不尽な訴えに対し、立ち向かい、懸命に戦い、そして勝利を収めたことで世界で一躍有名になった。まさに多くの農家の希望の星。



この映画が映し出す現実は、大企業VS一個人だったり、これからのGM作物に関連する問題をちらつかせているが、ストーリーの中にこれから起こるべく食糧供給に関する問題を裏にちらつかせている。その問題とは「私たちが食に困らない社会構築」ために犠牲にされる土地、農家、植物、そして生き物たちがこれからどのような課題にぶつかるのか、そういうこと。きっとね。




パーシー・シュマイザー モンサントとたたかう
原題:Percy Schmeiser-David versus Monsanto-   
公開:2011(2009年/ドイツ/)
監督:ベルトラム・フェアハーク
 


*おまけ*


カナダではもう、有機栽培の菜種は収穫できない。アメリカでは?欧州では?日本では?日本ではすでにGMナタネの自生、従来種での交配が民間団体の調査で明らかにされている。菜種油だけじゃない、ナタネ種のブロッコリー、キャベツもそのうち遺伝子汚染されるだろうね。


なんだか見た後にすごーく複雑な気分になった。どんなドキュメンタリーも現存する課題、問題をテーマにしているから、映画を見たから問題が解決するわけじゃないんだ。だからこそ、それを見てからどうしたら自分が問題解決に関われるか考えていくべきだと思ったり。その前に、人に伝えられるほどの教養をつけないと・・・とか思ったりしている時点で出遅れ。笑



ここから続けて書いても、再び映画の内容完全放棄になるので、また別の機会にGM作物と生物多様性の問題、共通点、課題なんかについてつらつら書きたいです。はい。まる。おわり。



*おまけのおまけ*

記事の冒頭で書きながら、
全く触れてこなかった某CA州知事・・・ではなくて
ターミネーター遺伝子について。


ターミネーター遺伝子とは。

terminate
【動詞】 【他動詞】
1a〈行動・状態などを〉終える,終結する.
http://ejje.weblio.jp/content/terminate

「生物工学的要素で、種子の遺伝子構造を変化させ、種子を作らないように仕向けて自己再生を不可能にする」技術だ。つまり、手を加えられた種子は一年だけは作物を実らせるが、翌年に種子を実らせることはできない。
http://www.financial-j.net/bbs/bbs.php?i=200&c=400&m=157559 


*おまけのおまけのおまけ*
映画の中で、種子メジャーが目標としているのは世界の食糧供給の根源を支配することだと伝えている。つまり、タネからの支配。食料支配⇒種子支配⇒利権で丸儲け(^q^)うーん、これはまるで「ソイレント」を髣髴とさせる社会システムの構築のスタートみたいだ。え、飛躍しすぎ?w(映画『ソイレント・グリーン』内に出てくる大豆由来の配給食糧)