人間はどこまで耐えられるのか

表紙のイラストに惹かれたのがこの本を手に取った一番の理由(笑


最初の2章まで読んで中断〜w
この本、人間は極限の自然環境の中でどこまで耐え切れるのか?というのをこれまでの科学的見地(主に生理学)をベースに説明している。


一章目が高地、二章目が海中、三章目が暑さ、四章目が寒さ。



五章目からは視点が変わり、人間そのものの限界になる。五章目からは速さ(どこまで速く走れるのか)、六章目は宇宙と人間、7章目は生命はどこまで耐えられるのか。



凄い面白いよ。生理学って言うのは”広義に解釈すると、生命現象のありのままを研究する生理学は、生物学と同義と言えよう。”wikipedia先生がおっしゃるとおり、人間(もしくは動植物)に起こりえる生理現象を研究する学問なんだけど、この本では極限の環境に置かれた人間がどうなるのか?体の中でどんな現象が起こっているのかを、先述どおり、これまでの研究を通して丁寧に書いてある。
凄いわかりやすい。


まずこの本を読んで驚いたのが、生理学者の研究者って、被験者探す手間を惜しんで自分がモルモットになることが多いらしくて、自分で論理を導いて実験をするらしいんだけど、その精神力というか実行力に驚いた。


私は海が苦手なので(水族館や海岸線は好きだけど)、二章目の海や深海の話は読んでいて息苦しかったんだけど、一章目の高山や高地の話はとても興味深かったよ。


高山や空の高いところに人間が行くと起こる現象を空と高山・高地で分けて書いているんだけど、今まで良く知らなかった高山病の原理とかがとてもよくわかった。その逆として本書では、深いほど高圧になる海の中で起きる病気・潜水病のメカニズム書いてある。でも、潜水病の話はまるで自分が深海にいてそれにかかっているかのような息苦しさを覚えた。体中の窒素がガス化して血液に溜まる感じw



水圧について面白い話があった。


”昔、川の中にトンネルを通す工事中にボスが客人を招いてパーティーをした。トンネルの中といえども川の中なので、当然水圧の歓迎を受ける。パーティーの最中、シャンパンを開けるのだけど勢いよい吹き出しもないし、無炭酸。その理由は、なんと開栓前のシャンパンボトル内の気圧と外気圧(トンネル内の気圧)がほぼ同じだったから!それでも、しょうがないから客人は気の抜けたシャンパンを飲んだ。そして会もお開きになった頃、ぞろぞろとトンネルを抜け地上に出た客人のおなかの中で、突然シャンパンがはじけだした。”


真意は定かでないらしいけどね、面白いなぁって。シャンパン文化侮れないなー、ていうか工事中のトンネルの中でパーティーとか洒落てるッ!!パーティーの参加者、しばらくゲップ止まらなかったんだろうねwそれはそれはすごい記憶に残る会になっただろうね。笑




海の話では、潜水服が出来た経緯が実は防火服(火災時用救助服)がベースになっているんだよ◎っていうような、そういう本当に本当に本当にトリビアの話が載ってて、美味しいよねwでもその潜水服の悲劇が凄く残酷で「あぁああ・・・」と想像を止めたくなる酷さだったorz



まだいくつか章が残ってるけど残りは気分だなぁ。結構もうおなか一杯笑



人間はどこまで耐えられるのか(The Science of Survival)
著者:フランセス・アッシュクロフト 訳:矢羽野 薫
出版:河出書房新社


人間はどこまで耐えられるのか
人間はどこまで耐えられるのか