トゥモロー・ワールド

出産がそんな簡単にいくわけないだろうと、臨月なのにそんな動き回っちゃ危険だよー(>ω<。)と変にひやひや。



あらすじ
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西暦2027年11月。人類は希望を失い、世界は恐慌状態におちいっていた。なぜか出産の能力が失われ、18年間にわたって全く子供が生まれないのだ。


英国にも世界中から大量の不法移民が押し寄せ、日に日に治安は悪化していた。世界最年少の青年がアルゼンチンで刺殺されて絶望に包まれたこの日、ロンドン市街地で爆破テロが発生し、英国エネルギー省に勤めるセオはすんでのところで難をまぬがれる。


翌朝、セオは出勤途中に反政府グループに拉致される。首謀者はかつての妻ジュリアン。彼女の要求はある不法滞在者の「通行証」を手に入れることだった。渋りながらも、従兄弟の政府高官から通行証を手に入れるセオ。検問所を突破するためジュリアンと共に乗り込んだ乗用車で、セオが引き合わされた不法滞在者は若い黒人女性、キーだった。



検問所に向かう途中、セオたちの車は暴徒の襲撃にあい、ジュリアンが撃たれて絶命。組織のアジトに逃げ込んだセオは、キーから衝撃の事実を告白される。なんと彼女は子供を身ごもっており、間もなく出産を迎えるというのだ。セオは彼女を連れ、命がけの逃避行を開始する…。
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珍しくwikiのあらすじが簡潔でよかったので転載。


全人類生殖不能とかこれ以上ソソラレルテーマがあるのだろうか(反語)
「メス化する自然」「奪われし未来」のような話が好きな私にとって人類が生殖不能になるのはこれ以上ないワクワクするテーマでした◎しかしながら、映画本編はどうして「出産不能」が起こったのかという科学的な視点ではない。


舞台はイギリス。これもイイ、イギリスの田舎に住みたいと初めて思いました。マイケル・ケインが演じているジャスパーの家よかったなぁ。ついでにマイケル・ケインを調べたらなんと「Sir」の称号持っていることが判明・・・ナイトでしたか。


いわゆる「長回し」という手法が多い。とにかく多い。そしてカメラに血飛沫が飛んでるっていうのが新しかった。「いつこの血飛沫がレンズからなくなるのか見てやる・・・」とか雑魚っぽいこと考えてたら、その瞬間をまんまと見逃した。


途中から登場人物が多くなって混乱。そして動物が沢山出てくる。これだけ動物が出てくる映画初めて見た。それがまたイイ。生まれたての赤ちゃんの存在に気がつく犬とか、それがあってこそのシーン展開・・・わんちゃん最高。



ロンドンの陰鬱なジメジメした空と街、移民街の秩序もない雑多でカオスな雰囲気が最高に映画の出汁。新たな人類の誕生がなくなって18年が過ぎる世界の雰囲気を一気にロンドンに凝縮した感じ。



冒頭で世界で一番若い青年の死が報道されて、みんな一斉に悲しんでいるけどあれは金さん銀さんがお亡くなりになったときの国民感情と同じようなものなのだろうか。どうして世界中が悲しむのか理解できなくてそうやって置き換えることでしか感じることが出来なかった。


とにかく!ストーリーはゴロゴロドンドン大きくなって転がっていく。ある瞬間から「これはもう手に負えねぇ・・・」状態に気がつく主人公、そして観客。もうすでに戻れないところまできてしまった彼らの運命を、こちらはただただ手に汗握って見守るのみ。


映画のテーマというか人類が陥っている究極の問題が食料や居住問題ではなく、子孫繁栄という根本的な部分だというのが一番面白いと思った。他にも移民問題やら市民権やら「移民=問題の一部」になっている国ではありえるテーマが大テーマを支える軸になっている。移民街のシーンは見もの。これだけごちゃごちゃしているのに、秩序が存在していたり、資本主義のカタチが見えたりいろいろと面白い。映画の後半のドキドキハラハラ要因があるのもこのシーン。



最後まで「トゥモロー号」の存在が結局何であるかつかめなかったが、最後に船が見えたときはどれだけ安堵したことか。セオ死んじゃうし・・・悲しかった。

子供がいなくなる世界、そんな世界を具体的に出してきたシーンがあった。映画の中で小学校を意図的に待ち合わせ場所に登場させて、その荒廃した姿をさらすのとか「やっぱり映画って考えられて作られているな〜」とつくづく思った。



なんていうか結局今当たり前だと思っているこの命も、よくよく考えればすごいことなんだなぁと柄にもないこと思ったり。最初のカフェ爆発から最後のシーンまで目を離せないぐらい、惜しみなくいろんな要素が詰まってた。




映画全体テンポがいい。安堵・不安・悲しみという観ている側・もしくは主人公たちの感情がリズムよく押し寄せる。だから見ていて安心して見れる。「次は何が起こるの?」って。



ちなみにセオ役のクライヴ・オーウェンは同じ誕生日だった。ちょっと嬉しいような微妙な感じ◎



原題:Children of Men
公開:2006
監督:アルフォンソ・キュアロン