American Shorts Shorts 2000

〜American Shorts Shorts 2000より〜

10年ほど前、日本各地で開かれたアメリカのショートフィルムフェスティバル。1999年、2000年、2001年とそれぞれDVD化されています。今回は2000年版のものより個人的に良かった3作品をピックアップして感想を述べます。


全体の感想
この映画祭のDVDは全てスペシャルセレクションとして編集されていて、映画祭で上映された中でも秀逸なものがセレクトされているらしい。1999年版ものより2000年版の方がはるかに面白さが上。どの作品も趣向が凝らしてあって、とても面白かった。なので、逆に選ぶのが出来なくて困る笑


あらすじなどは全て公式HPより。
*一部自分で加筆しているのもあり。


Herd
あらすじ
***Comedy/マイク・ミッチェル
突然、エイリアンの来訪を受けた青年。洗脳され、ある物体をつくらされるが、その目的はさっぱりわからない。ユーモラスなエイリアンと、奇妙なストーリー展開に注目。
***

人の善意って本当たまに瑕。宇宙人の襲来から予想外の展開に持って行かれて唖然w


映画の初め、牛たちが宇宙船にさらわれるシーンから始まる。


舞台が変わり、アメリカの郊外。宇宙人が一人地球に舞い降りる。理由は定かでない。しかし、あらすじの「ある物体」を作られていたのは彼だけではなかった。そして集まる人人人人・・・



青年が人の群れに仲間入りしたとき、宇宙人が宇宙船を完成させる。地球から飛び立つ宇宙人。「ある物体」を手に持つ人たち。


ハッピーエンドかと思いきやの宇宙人によるテロ。そして舞い戻される牛たち。意味不明なエンドかと思いきや何気に映画:The Hitchhiker's Guide to the Galaxyの冒頭を思い出させる。あの映画ではイルカが地球上一番頭のいい生き物で、地球爆発の前に地球から姿を消すんだよね。受動・能動の差はあれ、同じような印象を受けた。


教育テレビに出てくる「にゃんちゅう」のような宇宙人に親近感を覚えてしまった。





Tulip (Australia)
Heartwarming/レイチェル・グリフィス
あらすじ
***
妻に先立たれた農夫。
夫婦はチューリップという名の乳牛を飼っていた。

妻が死に、一人残された彼は牛の乳さえ搾れない。
虚無感、放心状態の彼の生活を活気付けたのは亡くなった妻が残した遺品だった。
***

なんか懐かしいなーって思ったらオーストラリアの映画だった。


妻がいなくなった何も出来ない夫。家事も、搾乳も、洗濯も、料理も・・・
その不器用さや不慣れさがきちんと描かれていて良かった。


整頓されていない冷蔵庫、ステーキを焦がしてしまう動作、妻にまかせっきりだった牛の扱い方を知らないetc...


そうした不慣れさの中、葛藤する彼の焦燥感が伝わってきたし、最後に亡き妻の遺品によって彼の枯れきった生活に潤いが出たときは泣けた。


夫婦っていうのは、いつまでも互いを支えあうものなのか。
はたまた、夫という生き物は妻なしでは生きていけないものなのか。


暖かい映画でした。





Desserts (England)
Experimental/ジェフ・スターク
あらすじ
***
浜辺を歩く青年が見つけた一切れのケーキ。

一体誰が、何のために?
***


Ewan McGregor主演(というか一人しか出てこないが)ということで。笑
ちょうど「ブラス!」とかに出てた時期の顔つきに似ている。調べたら同じぐらいだった。ブラス!が1996、この映画が1998。



映画の内容としては、それなりに面白い。いや普通に面白い。適度に面白い笑 Ewanが得意とするいろんな意味で変な役ではないので安心して見れます。



釣られる魚の気持ちがよく解りました。



Red Ribbon
Drama/エリザベス・ローチェン
あらすじ
***
戦闘で多くの男性を失い続ける第二次大戦下のドイツ。国家は、人口減少の打開策として、”繁殖”を任務とする兵士を登場させた。

ナチの兵士である男、そして妊娠中の妻。
上層部から届く指令、それは懐妊させる女性の住所と名前が記載されてあった。夫婦で訪れる最初の指令場所。

出会った女性が男が指令された相手かと思いきや、実は上層部が指令してきたのはその女性の娘である13歳の少女だった。


泣き崩れる母親である女性、良心の呵責に苛まれる男、自分の子供のためならば・命を守るためならば仕方がないと夫を奮い立たせようとする妻。


上層部の指令に誤り?そんなことは起こりえない。
実行しなければ全員死ぬ、それが軍のやり方。

少女、母親、夫、妻・・・それぞれの思いがある中で、男は命令を果たすが・・・。

ある兵士の手紙に基づくストーリー。
***


これは結構皮肉な話で、また演出とか(よくわからないけど)も良かったと思う。戦時下のドイツって言うのが個人的にそそるんだけど、それ以上に「繁殖」を義務付けられた兵士の話って言う設定がとても面白いと思うんだよね。このテーマだけで映画撮るのは難しいかもしれないけど、ショートだからこそいろいろ凝縮して撮れたのかな。濃かったし良かった。


結局、少女は男に抱かれてしまい自殺。
後に当局(上層部)の伝達ミスが発覚。



なんていったらいいかわかりません、私には。よく考えればありえそうなシナリオなのだけど、見入ってそれどころじゃない。



こういうちょっと狂気染みている作品は嫌いじゃない。テーマは割と重いけど、見入っちゃう、面白いってこういうことだよね?たぶん。



あと作品の雰囲気もいい、木製のちょっと年季はいったアパートとか、当時の富裕層の服装とか。映画の内容に関係なくいえば、こういう家具、セットが好き。本当個人的な意見笑