American Shorts Shorts 1999

〜American Shorts Short1999より〜


10年ほど前、原宿と沖縄で開かれたアメリカのショートフィルムフェスティバル。1999年、2000年、2001年とそれぞれDVD化されています。今回は1999年版のものより個人的に良かった3作品をピックアップして感想を述べます。



The Robber
あらすじ
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(サスペンス) 13min / 35mm作品 / 監督 Michael Mayer
ある家に泥棒に入った男が家人の若い女性に見つかってしまい、挙句の果てに外から鍵を掛けられてしまう。

どこを探しても出口が見つからず、開き直った彼はキッチンで料理を作り始める。その家の飼い犬とともにディナーを楽しむ男。

やがてそこへ警官が入ってくるが・・・。
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10本近く収録されている映画の中で一番続きが気になった。そして純粋に面白い。出口が見つからず家の中をグルグル歩き回った末、開き直って料理し始めたり、犬と一緒にディナー食べたり、結構楽天的な泥棒。


警察が来てつかまるのかと思いきや、家主の訃報を伝えにくるっていうまさかの展開。家主は大通りに飛び出して轢かれて死んでしまった。警察も泥棒だとは思わずに「お気の毒に、気を強く持て」なんてアドバイス残して家を去る。泥棒も思わずポカーン。

その後、泥棒は犬を連れて家を去る。あぁ、その後どうなるの?気になる。


劇中のラテンな音楽もいい。なんか泥棒にとってショッキングなシーンなのに、音楽があるのでとてもコミカルに見える。


人生、本当何があるかわからないね!




Lily and Jim
あらすじ
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(アニメーション) 14min / 35mm作品 / 監督 Don Hertzfeldt's
ブラインドデートで初めて会った2人を通じて男女の恋愛感をの差を描いたアニメーション作品。

レストランで緊張しながら会話を交わす2人が出てくる話題は盛り上がらない話題ばかり。

お互いを理解できないままそれでも彼女の家までは行くのだが・・・
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アニメーション作品。インタビューと彼らの再現フィルムが交互に流れる。話が進むにつれて、初めは恋愛において自分のダメなところを呟く両者だったが、最後では「どんな相手も自分のことなどわかってくれない」といい始める。


うーん、恋愛に関してはいつの時代もどんな人種も人間であれば同じ感情を抱くのかな。


再現フィルムもフフフと笑ってしまう。イケテナイ男女、盛り上がらない会話、つまらないテレビ。どれも彼らの恋愛を成就のを一生懸命妨げているようにしか見えない。


そして極めつけはJimの極度のカフェイン・アレルギー。アニメーション映画でダメな男(笑)っていうのはここぞのときに断れない奴を言うのだ、と確信してしまった。笑


あぁ、なぜ彼はLilyに「私の家でコーヒー飲まない?」と聞かれたときに「僕はカフェイン中毒なんだ、だからコーヒーは飲めないけどどこかのレストランでお茶(i mean it's tea)でもしない?」と誘えないんだろうか、可愛そうなJim.女の家に上がりたいのが男の心理だとしたら、「そこまでして?!」と逆に思ってしまう。


コーヒー飲んで中毒症状で腫れあがる顔。そして気絶、病院送り。


この二人、きっと世界中にどこにでもいるよ。
もしかしたら私もLilyなのかも。


Visas and Virtue
あらすじ
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(ヒューマンドラマ) 26min / 35mm作品 / 監督 クリス・タシマ
1943年ナチ制圧下のリトアニア。日本大使の杉原の元に、ある朝迫害を受けたユダヤ人達がポーランド国境を超えて集まってきた。

そんな彼らにとってビザは命と同じ。しかし同じ頃、本国からは大使館を閉鎖しベルリンに向かえとの命令書が届いていた。迷う杉原に妻が言う「あなたサムライでしょう・・・。」
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「僕はただの領事だ」


いやぁ、日本の夫婦において旦那が妻の薬指(もしくは小指)にキスはしないだろうよ・・・とか思いながら見てしまった。若干突っ込みも入れつつも、夫婦の絆が厚いことは解った。そして全編英語である。でもなぜか日本人の奥ゆかしさが現れているのはなぜだろう。このころの日本人女性の奥ゆかしさはとても素敵だと思う。



日本のシンドラーといわれる杉原千畝とその妻の話。映画の舞台はリトアニアの日本領事館。ナチに追われるユダヤ人にビザを発行していた。が、彼はそのビザ発給をやめようとしていた。ビザを発給する最後の一組として通した夫婦は、戦争で我が子を亡くしていた。


領事の妻は母乳が出ずに、末の子の病を治す手立てがなかった。それを知ったユダヤ人夫婦は、杉原夫婦の子を救いたいと申し出る。生まれる絆、領事の使命、人としての良心。


千畝が残した功績は、人の命となって地球に生きる。