戦場でメシを喰う(佐藤和孝/新潮社)

「戦場でメシを喰う」

あらすじ
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死と隣りあわせで人は何を食べるのか?戦場からの中継でお馴染みのジャーナリストが食べることに拘り、世界の紛争地に生きる人たちの実態を迫真レポートする。

雪山行軍中のアフガン・ゲリラとかじったナンの味、食料がないながらも「食う」ことに貪欲なサラエボの市民たちの姿、闇のなか手づかみで味わうアチェのココナッツカレー、そしてイラクでは日本人の死に間近に接し改めて「生きる」ことについて考える...。

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この本をたまたま友人に薦めていたら、「またヨシダが変なの読んでるよ・・・」とそれを見ていた別の友人に言われた。別に変じゃないし!それともヨシダを変だといっているのか(´・ω・`)


「戦場⇔食事」という設定。人間どこでも食は切り離せないもので、この本の中には戦争地帯・紛争地帯を渡り歩く著者が実際に経験した戦場の食事事情が読みやすい文体で書かれている。


4,5ページでそれぞれ違った話が展開されていて読みやすく、食事だけでなくその当時の戦況についての細かな説明や著者なりの意見なども書いてあり「ふむふむ」と読める。



戦場カメラマンの渡部さんが話題の人になってTVに出ているが、こっちの戦場ジャーナリスト佐藤さんの本を読んでいるほうが遥かに楽しい。渡部さんがつまらないのではなく、TV番組である特定の人物の特徴を笑いに持っていくのは、芸人ならまだしも、真面目にやっている人にはたいしてするのは失礼だと思うのです。もっと渡部さんがどんな活動をやっているか真面目に伝える番組があっても良いと思うよ!!!プンプン=3



まぁそれは置いといて、この著作の中で一番良かったのは「サラエボアルバニアチェチェン」の話かなぁ。自分が良く知らなかった話って言うのもあるけど、「現実にこんなことがあっていいの?」と思ってしまうほど驚愕の現実があることにびっくりした。


特にアルバニアについては、エンヴェル・ホッジャという政治家の話が衝撃的だったね。「ブンゲル」という砲台兼土豪を作ったり、ブドウ畑にたくさんの槍を配置させたり・・・それが何のために設置されたのか気になる方はこの本を読んでください。このホッジの話を読んだとき、この近代において東欧の中で半封建的=鎖国状態の国があったなんて本当にびっくりした。


世界には知らないことばかりだなと思った。この本を読んでから、一気に東欧の国々に興味が沸くとともに、もしヨーロッパに旅行にいけたらいってみたい国々が沢山出てきた。


シリアスであるはずのことが、割とラフな感じで書かれている。だからこそ「え、本当なのその話?!」と興味深深で読みふけってしまうのである。



戦場でメシを喰う
著者:佐藤和孝
出版社:新潮社
出版年:2006
ISBN:9784106101878