ビルマの竪琴

ビルマの竪琴
青年僧となりビルマに残った水島のモデルが実際に居るとのこと。モデルになった人物は敗戦後、日本に戻ってから僧侶となったとのことである。


あらすじは密林から抜粋。
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太平洋戦争終結後、米軍の要請で抵抗する日本軍の残党を説得しに行き、そのまま行方不明となった水島上等兵。その消息を追う、同じ井上部隊の面々。


やがて水島は、部隊の前に仏僧姿で現れるのだが水島は黙ってうなだれ、「仰げば尊し」を弾奏した。そして、森の中へ去って行く。

翌日、帰国の途につく井上のもとへ、オウムが届いた。オウムは「アア、ヤッパリ、ジブンハ、カエルワケニハ、イカナイ」と叫ぶのだった。

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この映画を観るきっかけがあります。それは「花と兵隊」という名の映画。その映画の中でも竪琴と思われる音楽が響いていました。

「花と兵隊」そして「ビルマの竪琴」の劇中に流れる軍歌、歌謡、そして竪琴の音。



ビルマの竪琴では、兵隊長が音楽教師だったために隊の統率をとる事も兼ねて皆で歌を良く歌い、中でも水島隊員は竪琴を上手に弾いた。戦線を抜ける中、水島は戦争というものが残した多くの悲しみや報われない魂を救済するため隊の中から一人ビルマに残ることを決意する。

「みんなで日本へ帰るぞ」と心に誓う隊長(三國)と水島を想う仲間たち。 総てをつなげるのは歌であり、竪琴の音であった。


初めて白黒の映画かな。
初めて大御所といわれる監督の作品を見ました。
息を呑むというか、展開もストーリーも内容も演技も良かった。なんだろう、心にジワジワくる展開が良かったのかな。見た後にしんみり、心がぎゅっとなりました。


やっぱり最後の見送りのシーンが一番心打たれたなぁ。水島がジャングルを抜けるときのあのやりきれない水島の表情とか心境とか見て「この人は、戦場を生き抜いている人なのに、まだこうして人としての心があるんだな。なんて凄い人なんだ」と思ってしまう。「地獄の黙示録」とか見てると戦場が人を人でなくする効果を持っているのがよくわかるからね。いや、でもある意味水島も戦争を経験し「普通の人間」ではなくなってしまったのかもしれない・・・


実際タイやビルマには無帰還兵というのが何人かいる。冒頭で出た「花と兵隊」ではその人たちが取り上げられていて、中でも故藤田松吉氏はタイ・チェンマイに住み現地で800人もの遺骨を集め大きな慰霊碑を建てた。どうして「祖国」に帰らずに現地に留まったのか・・・水島のように帰還しなかった人たちの実際の話を知りたい場合は「花と兵隊」を見ることをお勧めする。


この映画に命を吹き込んでいるのは、俳優。彼らの演技、特に三國連太郎の演技は今の俳優には到底及ばないな。いろんな意味で芸術的といえる綺麗な反戦映画だね。



ビルマの竪琴
公開:1956
監督:市川崑