いのちの食べかた

これは実際の現場に赴き、食料の出来る過程を撮影したドキュメンタリードラマです。


口に入れる肉、野菜、卵・・・一体どんな風にそれらが生産されているか考えたことありますか?どんな人もこの映像を見たら衝撃を受けるだろう、そんな作品です。


あらすじ
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私たちの「いのち」と切り離せない「食料」を生み出している現場の数々を描いたドキュメンタリー。

野菜や果物だけでなく、家畜や魚でさえも大規模な機械化で生産・管理せざるを得ない現実を約2年かけて取材・撮影した。


野菜の栽培や収穫など、普段見ることの出来ない食料生産現場の唖然とするような光景が淡々と続いていく。時に目を覆いたくなるような映像もあり、改めていのちを「いただく」ことについて考えさせられる秀作。


監督はオーストリア出身のニコラウス・ゲイハルター。作家性の強いTV映画やドキュメンタリーを得意としている映像作家だ。

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>>普段見ることの出来ない食料生産現場の唖然とするような光景が淡々と続いていく。



まさにそのとおり。台詞一切なし、淡々と映像が流れていく。でもその映像の衝撃が凄すぎて目が話せない。話に聞くのと目で見るのとは天と地の差があるのだと思うほど。


この映画は、「よみきりパンセ」シリーズで「いのちの食べかた」と題された書籍のタイトルをあやかった映画である。書籍では日本人の肉食について、また肉の生産についてをか足られている。しかしこの映画では先述どおり肉だけでなく野菜や卵も然りである。

ひよこの仕分け、鶏舎の巡回、種牛(雄)の精子採取・受精、乳牛の一斉搾乳・解体・・・そういう普段見られない映像のオンパレード。度肝を抜かれるシーンもある。生き物を扱っているのにどこか無機質な時間や空間がそこにある。対峙しているのは生き物同士なのになぜなんだろう。


事実輸入食品・食材が多い日本だからこそこの映像を見て、なにか感じるきっかけになればいいと思う。今の食文化を支えているのは毎日のように行われている無機質を感じさせる生産工程なんですよ。


いや、別にこの映画を見てベジタリアンになれ!というわけではないが・・・ただ、食卓に並ぶすべての食材、それぞれに命があってそれを戴くということを再認識できるきっかけになればいいと思います。



ま、でも最大の問題はこういう映画を見る人は最初からそういった食物に関することに興味がある人が多いってことなんだけどね!



印象に残っているシーンが二つある。
一つは、食肉工場で毎日牛の屠殺を行ったり、捌いたりしている人がハムの入ったサンドイッチをランチとして食べたりしているところ。
もう一つは屠殺される前に見せる牛の表情。それは今も忘れられない。



日常生活の中で何か忘れ物があると思った人は、このドキュメンタリーを観てみてそれを思い出してみてください。きっと思い出せます。

命の食べかた
原題:Our Daily Bread
公開:2007
監督:ニコラウス・ゲイハルタ