Big Fish

2003年公開の映画。

ティム・バートン監督作品でユアン・マクレガー主演の映画。
ユアンのいいところ満載の映画だと思う。笑
いやこれはファンとしての観点ですが・・・


このBigFishという映画はファンタジー映画だと思う。
でもファンタジーなのにリアル要素もあって、観た後に「これはどういうジャンルの映画なんだろう」って思った。今までにないファンタジーだと自分では思っていて、人にこの映画を紹介するときもそう伝えている。


この映画のあらすじもwikiから転載。
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身重の妻と暮らすジャーナリストのウィル・ブルーム。

彼の父エドワード・ブルームは自らの人生を巧みに語って、聞く人を魅了するのが得意だ。ウィル自身も幼い頃は父の奇想天外な話が好きだったが、いつしか自分だけ父の話を素直に聞けなくなっていた。


3年前の自分の結婚式にエドワードが息子ウィルの生まれた日に巨大な魚を釣った話で招待客を楽しませた時、その不満が爆発する形で、ウィルは父に今夜の主役は自分であると訴え、仲違いが生じ、それ以来二人の不和が続いていたのだった。


そんなある日、母から父が病で倒れたと知らせが入る。ウィルは妻と共に実家へと戻る。しかし、病床で相変わらずな話を語り出す父と、本当の父を知りたいと葛藤する息子は理解し合えぬままだった。


はたしてウィルはエドワードの話の中に、父の真実の姿を見出すことができるのだろうか…。

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「君が大きすぎるんじゃない。この街が小さすぎるんだ」


この映画の見所は沢山あるんだけど、その中でもエドワードの台詞が結構良い。


話の中でエドワードの街外れに大きな巨人が住み着く話がある。街の住民が恐れる中エドワードは彼を連れて街を出ることを決意。そのときに住処を出ることを躊躇する巨人に告げた言葉が上の言葉だ。


こういう気障な台詞がちりばめられているんだけど、それがまた映画を盛り上げる。エドワードという人物が「こういう人間です」といっているような。とてもわかりやすい人物描写。


ストレートで一途で、決断が鋭くとても賢くて、社交性に長けたエドワード。こんな人間が居たら男女問わず好きになっちゃう。それくらい魅力的な人物だと思う。



エドワードの回想は「ほら話」をベースにされているからスケールがとにかくでかい。たとえば、エドワードが唯一愛をささげる女性、サンドラに告白するシーン。サンドラの大学の寮の前で、黄色い水仙を庭一面に広げて待っているシーン。

「こんなに沢山の水仙の花、どうしたの?」と聞くサンドラに
「君のために、アメリカ全州の花屋に電話して集めたんだ」
水仙の花一面っていうシーンと、この気障な台詞がエドワードのスケールのでかい人生送ってる感を醸し出す人物像を描いて気がする。笑

大体気障な台詞って言うのはナルシストか波乱万丈だが充実した良い人生送っている人しか吐けない。前者の場合は大体気持ちが悪く聞こえるが、エドワードは後者であるので気持ち悪さ0%のナチュラル感100%である。



こうしたエドワードの「ほら話」を最大限素敵な映像として完成させたバートン監督の想像力と独創的な考えが素晴らしいと思う。
また劇中では50年代後期〜60年代のポップな音楽が使われていて、ワクワクした気持ちになる。コニー・フランシスの「可愛いベイビー」だったり、コーデッツの「ロリポップ」だったりね。



戦争などの割かしシリアスなシーンもあるのに、どうしてこんなコミカルに話を進められるんだろう。戦線から逃亡して罪に問われないんだろうか等の細かいことはこの映画では関係ない。すべての出来事ははエドワードという人物を完成させるための欠かせない要素である。エドワードが魅力的だと感じるのは、性格の部分だけでなく、エドワードという人物がすごくピュアでまっすぐな人物だからなんだよね。そうしたピュアさに人々は惹かれていくんだよね・・・



エドワードにまつわる話はサンドラの水仙シーンだけでなく、出産から魔女の話、巨人の話に幸せの街の話、サーカスで働いた後のサンドラへの告白そして結婚、戦争に出て・・・そうとう沢山の話が散りばめられている。


それぞれ脈絡のない話なのかと思いきや全部繋がっていて、全部の話にはそれぞれ濃いキャラクターの人物が出てくる。実際には存在しがいたい者たちばかりで、それがまた話を盛り上げている。


実際に存在し得ないキャラクターが、エドワードの想像力や人生を少しでも面白くしようとする力が沢山働いているなぁというのを感じる。でもその脚色が全然いやみっぽくない。というか悪い奴なんて一人も出てこない。一見悪そうに見えても、だんだんと「可愛そうな奴」としか思えなくなる。そういったところもこの映画のいいところなんだと思う。



そうしてエドワードの多くのストーリーを振り返った最後、エドワードの病床で息子のウィルとの最後のストーリー作りが始まる。


この映画の幕引きでエドワードは命を引き取る。でも全然悲しくない。むしろすがすがしい感じがするし、全然寂しいとも悲しいとも思わなかった。そういう映画なのである。



この映画観た人に感想を聞くと、みんな言うのは「不思議な映画だった」ってこと。この映画を観ると不思議な感覚に陥るけど、観た後に残る違和感や気持ち悪さはなく、ただただ「不思議」としか形容の出来ない気分になる。


親子の身近な人間関係から偶然の出会いまで人の出会いやつながりはさまざまだけど、この映画を観ると出会ったすべての人が自分の人生(ストーリー)を作るのに欠かせないキャストであると同時にその一人一人とどう関わったかによってストーリーに重みが出てくる。



どうでも良い話だけど、この映画を観てから自分の話で如何に他人を楽しませるか考えて話すようになりました◎笑



Big Fish
公開:2004年
監督:ティム・バートン