サイド・エフェクト

右から〜左へ〜


あらすじ
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ウォール街のエリート金融マン、マーティン(チャニング・テイタム)と結婚したエミリー・テイラー(ルーニー・マーラ)の未来は、輝かしく歩み出すはずだった。だが結婚式の直後、マーティンがインサイダー取引で逮捕。豪奢な邸宅を没収されたエミリーは4年間の孤独に耐え、服役を終えたマーティンとニューヨークの質素なアパートメントで新たな生活をスタートさせる。


そんなある日、エミリーは地下駐車場で事故を起こし、病院に運び込まれる。幸いにも軽傷で済んだが、診察を担当した精神科医ジョナサン・バンクス(ジュード・ロウ)は、事故現場の様子から彼女が故意に車を壁に衝突させて自殺を図ったのではないかと推測。エミリーはかつて患ったことのある鬱病を再発させていたのだった。抗鬱薬を処方され、カウンセリングを受けることを条件に退院したエミリーだったが、地下鉄のホームで自殺未遂を起こす。以前エミリーを診察したヴィクトリア・シーバート博士(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)に相談したバンクスは、エミリーが睡眠障害や吐き気といった薬の副作用に悩んでいたことを聞き出し、エミリー本人の希望も受け入れる形でアブリクサという新薬を与える。

するとエミリーの病状はたちまち改善していった。だが間もなく、マーティンの変わり果てた刺殺体が自宅の廊下で発見。通報したのは、ベッドで眠りから覚めたばかりのエミリーだった。現場には争った形跡はなく、凶器のナイフからエミリーの指紋が検出され、彼女は殺人容疑で身柄を拘束される。その後、マーティンの母親がテレビ出演し、アブリクサの製造元であるサドラー・ベネルクス社を糾弾したことで同社の株価は暴落。バンクスの自宅にも大勢のマスコミが殺到する。


エミリーの裁判が始まり、弁護側の証人として出廷したバンクスは、エミリーはアブリクサの副作用で夢遊病になり、自己の意識がないままマーティンを刺したのではないかと証言。裁判長、検察、弁護士の協議の結果、一時的な心神喪失を認められたエミリーは殺人罪に問われず、精神医療センターで治療を受けることになる。しかし、バンクスが患者に危険な新薬を処方したとの悪評が広まり、研修医時代に診察した女性患者が自殺した過去まで蒸し返され、彼はオフィスを追い出され、妻(ヴィネッサ・ショウ)との仲も険悪になっていく。


そんなある日、アブリクサが引き起こす睡眠時の異常行動に関するシーバート博士のレポートをネット上で発見したバンクスは、彼女が事前にその副作用について自分に忠告しなかったことに疑問を抱く。独自の調査に乗り出し、エミリーの事故現場や職場を訪ねて不審な点を洗い出したバンクスは、事件の背後に渦巻く陰謀の匂いをかぎ取っていくのだった……。

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「右から左へ〜」は、カメラ回しの特徴。
監督のソダーバーグ氏自らカメラまわすそうで、もしかしたらこういうカメラ回しも彼の思い入れがあるのかもね。
大体映画のカメラ振りは右から左。私でも気がつくほどよく使ってます。面白いね。


ソダーバーグ監督の映画は「コンテイジョン」に続き2作目の鑑賞。
コンテイジョン」はパンデミック映画で、テンポも良くてどんどん引き込まれていく映画でした。
最後の最後にどんでん返しがあって、「まさか!」と思わせる最後が印象的でした。

今作の「サイド・エフェクト」はお薬の副作用が導くサスペンススリラー。
コンテイジョン」と同じく「まさか!」と思わず感嘆してしまう展開が続き、最後まで楽しめる映画でした。
ジュード・ロウ演じる主人公バンクスからは「ここで負けては男が廃る…」という並々ならぬ決意が滲み出て、そして漂っていました。

アメリカだからこそ描ける映画だとつくづく。
精神科医バンクスが英で開業せず、アメリカに渡ってきたように、我が国でも鬱やら統合失調症のような精神的病に対する理解はまだまだ厳しい。その上、セラピーや精神的負担を軽減するための気軽な薬剤投与などがあまり一般的ではない。その為、そうしたアメリカの医療文化の背景を知らずにこの映画を見てしまうと、軽くカルチャーショックを受ける人もいるかもしれない。


結果的に、詐病&インサイダーという結末で終わる映画なんだけど、私にしてみればとてもSFっぽくて面白かった。薬を飲んで夢遊病になって人を殺してしまう…という恐ろしくもあり、でもどこか現実味を帯びているフィクションに戦慄を覚えつつ、薬一錠で自分の気持ちをコントロールできてしまうという医学の恐ろしさにもまた戦慄と興奮を覚えました。これがまさにサイエンスフィクション的要素を孕んでいて、想像が膨らむんですよね。誰かにこうした設定を題材にして一本小説を書いてほしいところ。



ベタベタに褒めたい点としてはヒロイン、と言っていいのか、主演女優のルーニー・マーラが超可愛いの!
何だろう…可愛いんだよね…映画では彼女が演じるエミリーにすごく騙されました。
それこそバンクス並に「エミリー…!!!!」ってなるぐらい。
ドラゴンタトゥーの女」にも出演しているということで、写真漁ってみたら彼女らしい跡形もないメイクでびっくりした。


ソダーバーグ作品は、まだ2作しか見ていないので系統づけることはできないのだけれど、彼の作品は最初のカットと最後のカットがリンクするの。まるでまた新しい話が始まりますよ、って言っているよう。ただ映画として帰結しているだけなのに、また新しい始まりを感じさせるエンディングを描くのはとても優れているなぁと思います。
コンテイジョン」の時は「新しい始まり」というより「恐怖の始まり」のシーンで終わったので、何とも言い難いですが。笑


永遠の女神キャサリン・ゼダ=ジョーンズも出演しているのだけど、一見して誰だか分らず。私はよく「一見して誰だか分らず」っていうのがよくありますが、最初のオープニングクレジットをきちんと見てなかったら最後までわからなかったかも…
彼女もまたすごいキレる女医として出てくるんだけど、まさかの百合要素あるとは思わず嗚咽しました。しかし、美しすぎる美尻もきちんと写っててウットリ…


映画ならではのキャスト、展開、脚本を楽しみたい人にオススメ。
是非騙されて。


サイド・エフェクト
SIDE EFFECTS
2013
スティーブン・ソダーバーグ