オブリビオン

なんか久々にアタリ。


あらすじ
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2077年、エイリアンの攻撃を受けて地球は壊滅する。

人類は他の惑星へ移住するが、ジャック(トム・クルーズ)は高度1,000mの上空から地球を監視するため、たった1人で地球に残っていた。

ある日ジャックは、墜落した宇宙船で美女ジュリア(オルガ・キュリレンコ)が眠っているのを見つける。彼女は目を覚ますと、会ったこともないジャックの名前を口にする。

ジャックは断片的な記憶をたどるが、誰もいないはずの地球で、謎の男ビーチ(モーガン・フリーマン)によって拘束される。

ジュリアとビーチによって、ジャックと地球の運命が動き始める……。

***

トム・クルーズだしなぁ…と思ってタカを括ってたけど
王道をピシィと抑えた良い映画でした。

監督は「トロン・レガシィ」と撮ったジョセフ・コシンスキー
彼は建築をかじっていることもあってか、世界観の描き方が緻密。
背景画を見ただけでもこだわっているなぁとおもう。トロンもそうだった。


侵略済みの地球、まさかのクローン、生き残りの人類、ドローンというロボット、ウラシマ的ヒロイン2…
懐石料理みたいに美味しい食べ物があっちこっちから出てくる。
侵略もの、エイリアンものというのではない。

SFの王道をひた走る感じなんだけど、諄くない。むしろさわやか。
さわやかな演出はやっぱりそのマテリアルかな。
近未来的な居住空間に移動手段(バイクはすごくアナログな感じがした)のデザイン。


主人公と同居する妻の存在が双極的であることも良い。
地球を名残惜しむ夫(主人公)に対し、早く宇宙空間の居住スペースに戻りたい妻。
外の世界が好きな夫に対し、決して外に出ようとしない妻。
男性と女性という性の対比。

グループで住んでいるという設定では、決して成り立たなかったシナリオ。
いやぁ、監督の方が一枚上手でしたとしか思わざるを得ない。


映画のイントロの時点でトムのナレーションに懐疑的だった私も、この展開は読めなかった。
残念。修行が足りないw


AKIRA炭団のような、ボスの命令に忠実なドローン。
ISLANDの主人公リンカーンたちのように、外の世界を知らずに生きてきたクローン。
命をかけて守っていたものが実は敵の手に落ちていた故郷だったと知る時、人はどのような感情に陥るのだろう。興味深い。


もう少し丁寧な人物描写でもよかったかな、と思うけどこれ以上詰め込んでたらだめなんだと思う。さらっとしてても味がしっかり。観る者を取り込む王道SFがここにきてドンと出てきたなと思いました。


つけたし*
話の最後にトムのクローンが出てきてジュリアがときめく瞬間がある。
クローンだから同じ人とかんがえるのか、クローンだけど個体によって別物であると考えるのか…人によって見解がかなり変わってくる終わり方になったと思う。ふふふ、って感じよね。受身で観てきた映画の最後で「え?」と思わせる瞬間があること。

オブリビオン
OBLIVION
2013
ジョセフ・コシンスキー