リンカーン

デヴィッド・ストラザーンの役どころがいい。


あらすじ
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貧しい家に生まれ、学校にもろくに通えない中、苦学を重ねてアメリカ合衆国第16代大統領となったエイブラハム・リンカーン

当時アメリカ南部ではまだ奴隷制が認められていたが、リンカーンはこれに反対していた。リンカーンの大統領当選を受けて、奴隷制存続を訴える南部の複数の州が合衆国から離脱しアメリカは分裂、さらに南北戦争へと発展する。自らの理想のために戦火が広がり若い命が散っていくことに苦悩するリンカーン

しかしついに彼は、合衆国大統領として、そして一人の父親として、ある決断をくだす……。
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映画としては、D.デイ-ルイスという頑なな信念を持つ役者が映画に出ているというだけでも話題性十分。彼の生きざまを改めて知るとそれはそれはすごい生い立ちで、誰が彼を一目見てアイルランドの山奥で靴職人をやっている人だと思えるだろうか…

D.デイ-ルイスその人も凄い方なのだけど、この映画で周りを固める役者たちも豪華。国務長官を演じるD.ストラザーン、息子役にJ.ゴードン-レヴィット。妻役にはS.フィールド…そしてトミー・リー・ジョーンズ

俳優好きの私としては、これだけでも観る価値が生まれる…!


特にストラザーン演じる国務長官は、キラリと光る役どころでした。歴史の人であるリンカーンの存在感に隠れがちな役だけど、彼の右腕がいたからこそ成し得た大仕事もあるんだと。自分は表舞台に立つ人間ではないけど、彼のような人間になりたい。


いくつか劇中で心に残った台詞もあったんだけれども、パンフレットのD.デイ-ルイスのインタビュー記事冒頭に書いてある言葉に一掃された。


「自分が一番恐れていることこそ、本当にやらなければならないこと」



仕事や現実の辛いことに向き合うことが苦手な私にとってはこうしたプロフェッショナルな仕事をする彼らの言葉が価値のあるものとして心に響く。もちろん、彼らの仕事の集大成であるこの作品が自分の心に響いたのは間違いない。

まぎれもなく、人間の尊厳のために戦ったリンカーンの、彼自身の言葉も一人の人間としてのstrengthとして伝わってきた。そういう映画です。


プロの所業を、信念を見せつけられる映画はあまり数多くないですけど、今年の映画で言うと「レ・ミゼラブル」や「ジャンゴ」、それ以上かも。ジャンゴは別ジャンルか・・・でも製作陣含め、皆が一緒に真面目に楽しんで作ってるのが伝わる映画だと思うよ。



心現れる良き映画でした。




リンカーン
LINCOLN
2013
ティーブン・スティルバーグ