羊たちの沈黙

1991年公開の映画。

あらすじ
若い女性の皮膚を剥ぎ落とし、その死体を川に流すという残忍な連続猟奇殺人が発生した。
犯人の仮称を冠し“バッファロー・ビル事件”と呼ばれるこれを解決するため、FBI訓練生のクラリスは、クロフォード主任捜査官からある任務を課される。
それは、元は天才的な精神科医であり、自分の患者を食したため現在は州立精神病院に措置入院されているレクター博士を訪ね、バッファロー・ビルの精神状態を解明させるというものだった。
***
実は今回2度目の鑑賞。
一回目はあまりにもグロテスクな印象しかなく、「どこが面白いんじゃ」と思っていたが、今回見返して逆に魅せられてしまった。

いやね、グロいところは何箇所かあるのだよ。
それはそうさ、レクター博士なんだもん。理由になってないって?笑
とにかくワタシが何に魅せられたかといえば、レクター博士クラリスの掛け合い。心理戦とでも言うべき脳みそが溶けちゃいそうなほどの難しい戦い。(私だったら絶対個人情報言っちゃう。この時点でもう話が終わったな。)
1991年公開。自分がまだ2歳のときの作品。
色あせない作品って、こういう作品を言うのだと今回感じた。
主な登場人物は、カーニバルなレクター博士と、シリアルキラーのビル。FBI捜査官のクラリスアメリカの当時の社会不安を映画に収めました◎っていう感じの映画らしい。(オーディオコメンタリーで言っていた)



まさしく、猟奇殺人・連続殺人事件の多発したアメリカにおいてこれが受け入れられないわけがない!といった感じ。核となるそのシリアルキラー事件だけだったらなんともないが、それを包むストーリー、散らされた登場人物が味を添えてとても濃厚。ここまで最初から最後まで”美味しい”映画は珍しいよ。

個人的に気に入ったのはバッファロー・ビル。
他人への「切望」と「欲望」から自ら「絶望」に陥っちゃう人で、レクター博士クラリスを結ぶシリアルキラー

この映画には、人間の影の部分が抽象化・具象化されて映画の中で出て
くる。その中でもバッファロー・ビルはその具象化されたものの一つらしい。実在したシリアルキラーをモチーフに作り出された役どころは、ダークな部分があるのにどうしてか魅力的に感じるんだよなぁ。


それはきっと誰しもが持っているダークの部分を思う存分見せ付けてるからだと思うな。ある意味すごい人間臭い。野獣に近い人間。獣。人が嫌う人間の部分を持っている人って一番映える。だからといって、反社会的な行動をした人間を許すわけではなく、ただ存在として面白いと思う。いや、こういったら語弊を招くな。


教授っぽく言ったら「よい研究材料として扱えるな」という感じ。
それぞれの存在が実に興味深い。(誰だお前w)

いや、そんな個人的なことはどうでもいいんだけど、この映画の主演であるジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンスの演技もすごいよ。特にレクター博士演じるA・ホプキンスの怪演にはもう・・・絶句w
一挙手一投足、見入るように見てしまった。怖いもの見たさに怖いものを見るのと同じ感覚だったな。そういうのって、見た後に大体後悔するか呆れるものだけど、今回の場合は「見てよかった!」と思うね。


なかなかないでしょ、そういう体験。なかなかないんだよ、こういう映画。
息がつけない掛け合いが続き、予測の出来ない展開が続き、見る者を魅了する要素に満ち溢れている。

なぜもっと早く見なかった自分、と責めたい。こんなに面白い映画があるなんて、早く知っておけば良かった。見ている最中はとてつもなくゾクゾク。終わったあと、すごい満足感。笑

本当に”美味しい”映画だよ。
食事中の鑑賞はあまりお勧めしないけどね!
(食事中に観て箸がすすまなくなった(´ω`;;))


羊たちの沈黙
公開:1991年
監督:ジョナサン・デミ